トリコスポロン・アサヒというカビが原因の夏型過敏性肺炎以外にも、鳩やインコ、鶏など鳥の羽毛や糞、陶芸の土埃や仕事で粉じんを吸い込むことで、発症する過敏性肺炎もある。冬には羽毛布団が原因の過敏性肺炎が増える。

 一番の治療は、アレルギーの原因を遠ざけることだ。カビが増殖するエアコンの送風口や、ふろ場、洗面所などの水回り、床や天井の四隅などを徹底して掃除する。

「家中探しても、どこにカビが生えているのかわからず、最悪の場合は引っ越しも考慮することさえありますが、まずは住環境のカビ調査と清掃除去が大切です。患者さんの同居者の約20%で発症するといわれ、その点でも木造家屋のカビは問題です。さらに地球温暖化で、高温多湿期間が長期化するにともない、より注意が必要です」(岡部長)

 夏型過敏性肺炎の中には、急に悪化し、呼吸不全に陥る症例もあり、人工呼吸器とステロイド剤で治療を行なう。他にも、年に複数回発症し、毎年発症する場合は、肺の線維化が進み、機能が低下することもある。

 過敏性肺炎は、2日間アレルギーの原因から離れるだけで症状が改善するといわれる。もし、抗生物質を服用しても治らない場合は、転地により症状が改善するかを診るチャレンジテストの実施も診断には有効だ。

※週刊ポスト2017年8月11日号

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