銀行以外の決済にはクレジットカードがあるが、これも日本の場合は加盟店でCATという決済端末からCAFISというオンラインシステムで信用照会を行ない、代金を銀行口座から引き落とす際は全銀システムを介するので、それらのコストがかかる。さらに、支払期日が過ぎても引き落とせなかった債権の回収に相当な費用が発生する。
このため、加盟店はカード決済の際に数%の手数料を取られている(ただし、手数料ほどのコストはかかっていない)。一方では、ゴールドカードなどの有料カードの場合、利用者は年会費を払わされている。銀行は、この加盟店の手数料と利用者の年会費の両方から“ピンハネ”してボロ儲けしている。だから、どの銀行もクレジットカードの発行にせっせと励んでいるのだ。
中国の決済も一時はクレジットカードの代表格である「銀聯カード」が席巻していた。日本を訪れる“爆買い中国人”ご用達のカードだったが、今や簡単・便利・手数料ゼロのアリペイとウィーチャットペイに取って代わられた。
アリペイとウィーチャットペイは基本的にデビット方式(使用した瞬間に口座から代金が引き落とされる仕組み)なので、クレジットカードと違って債権回収リスクがない。通信費だけで決済できるという大きなメリットがある半面、使用時にその金額以上の口座残高がなければ利用できない。
すでに中国では銀行の窓口決済が激減し、銀聯カードも一気に廃れ、銀行やクレジットカード会社ではリストラの嵐が吹き荒れているという。この変化に対応し、先見性がある日本の小売店や宿泊施設なども、アリペイやウィーチャットペイの導入を進めている。