スポーツ

智弁和歌山の「伝説の捕手」が甲子園に帰ってきた 

智弁和歌山コーチ・中谷仁氏

 あの「伝説の捕手」が甲子園に帰ってきた。第99回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)を現地で取材中のフリーライター・神田憲行氏が、20年前の「ある悔い」を胸に取材した。

 * * *
「意外と朝から緊張してます。自分は絶対に試合に出えへんのに(笑) この立場で野球見たことがないから、自分がどんな気持ちになるのかなあと」

 8月11日、試合前の取材が行われた阪神甲子園球場の室内練習場で、中谷仁さん(38歳)はそう言って笑った。

 中谷さんはこの日の第三試合で登場する、智弁和歌山野球部のコーチを4月からしている。

 20年前、中谷さんは智弁和歌山の主将、捕手として第79回全国高校野球選手権大会(97年)に出場して優勝。その年の秋に阪神タイガースにドラフト一位に指名され、その後、楽天イーグルス、読売巨人軍と3球団でプロ野球選手生活を15年送った。

 2012年に現役を引退したあとは野球の普及に携わる仕事をしていた。だが昨秋、智弁和歌山学校関係者・OBらから熱烈なラブコールを受けて、コーチ就任が決まった。

「僕はプロ野球選手としてはとても活躍したとは言えない成績でした。その中で学んだことも多いし、『あのときああすれば良かった』という後悔もあります。そういう全てを選手に教えていきたい。ま、『高校野球版 しくじり先生』みたいなもんですわ」

 と、人気テレビ番組を引き合いに出して謙遜する。

 指導は全般に及ぶが、捕手の指導にはやはり熱が入る。

「ワンバウンドした投球を胸に当ててボールを地面に落としたら、そのままピッチャーに返してはいけない。必ずボールについた土を払い落として返す。そういう細かい配慮の積み重ねが、投手から捕手への信頼につながっていく」

 甲子園にベンチ入りした1年生捕手の東妻純平選手は、

「中谷コーチの言葉は忘れないように、残さず毎日ノートに記録していています。4月からでもう一冊が終わりそうです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン