芸能

武井咲 『黒革の手帖』での銀座ママ役がかくもハマった理由

番組公式HPより

 今クールのドラマで、最も鮮烈な印象を与えている役者のひとりが武井咲である。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
『全日本国民的美少女コンテスト』の15代目が京都の中学2年生・井本彩花さんに決まりました。8万150人の頂点。彼女は夢について「武井咲さんのような女優になること」と語りました。

 今、その武井咲さんは、輝きに輝いている。

 これまでは清純派、美少女、お嬢様系、同コンテストの出身者代表としても常にそうした位置にマッピングされてきた武井さん。そのお嬢様系の位置取りを、敢えて「外した」おかげでブレイク!

『黒革の手帖』(テレビ朝日系木曜午後9時)で、銀座のクラブママ・原口元子役が惚れ惚れするほどの出来。まさか水商売のトップに君臨する悪女役に、武井さんがこうも適していたとは……。

「皆さんが抱く私のイメージも変わっていくかもしれませんが、その変化も怖くない。むしろそうならなくてはいけない」とご本人も宣言しています。

 でも、「変わらなくては」と意気込みすぎて空回りしてしまったり、背伸びしすぎてむしろ痛々しかったり。「やっぱりあの役は合わないよね」「汚れ役は無理だわ」という残念な結果になることの方が多いかもしれません。

 しかし武井さんは違った。見事にイメージを覆した。銀座ママ役がこうも板に付いていて説得力がある理由は? 3つの点から観察してみました。

【その1】表情と視線

 政治家や大女優はちょっと意外ですが、特定の人、つまり一つの点だけを「見つめない」といわれます。どこかを見ているようでいて実はふわっとした視線を投げている。あえて焦点をあわせず全体を見渡すような視線を心がけている、と。そうすると、群衆の心理としては「あっ、あの人は間違いなく私を見ている」と感じる。そう思わせることができるのです。

 つまり、視線一つにも戦略が込められていて「銀座のママ」という仕事はそれを駆使し、まさしく多くの客を相手に「私に気があるな」などと誤解させることが技になる。難しい仕事です。

 ドラマの中の原口ママの目線はどうでしょう? 冷静なニュートラルさ、どこか宙を漂うような視線が見事に演じられている、そう思えます。物腰も冷静。じたばたしない。たとえ相手が怒髪でつかみかかってきても、客観視しているような風格。そうした雰囲気が漂っています。だからこそ、今回のママが「はまり役」という評判につながっているのではないでしょうか。

【その2】声と口調

 耳を傾けていると「速度」と「高低」に特徴が潜んでいます。「速度」—–意図して一拍置いて間あいを取る。ややブレーキを踏んでいるような、ゆったり感で語る。相手のペースに決して巻き込まれない。

「高低」—–感情を抑制。極端に高い声や低い声を出さないことも自分優位に戦うための秘訣。武井さん自身の鼻に抜けるような甘い声質を変えることは難しくても、声の細かな演技、制御が感じられます。

【その3】着せ替えが映える圧倒的身体性

 このドラマを見ていて楽しい点。それは次々に変わるゴージャスな衣装を見事に着こなす武井咲さんの女優度の高さです。

 白い訪問着に白い帯を颯爽と身につける。ストライプのワンピースと『ティファニーで朝食を』でヘプバーンがかけていたような尖ったサングラスといういでたち。まさに目が喜ぶ、コスプレ。「衣装も化粧も芸のうち」である銀座のママを、地で行くような演技です。

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン