ジュニアはその後、ロシア人女性弁護士と会うに至った理由として、仲介者とのメールを公開した。そこでは、クリントンに不利になるような情報をロシア側が提供するという提案に対して、ジュニアが「話が本当なら素晴らしい!」と返信していた。

 なぜ疑惑を深めるようなメールを自ら公開したのか。

 内部告発サイト「ウィキリークス」創始者のジュリアン・アサンジは、「自分が公表を勧めた」と暴露した。メールについては、ニューヨーク・タイムズがコピーを手に入れ、報道することをジュニアに通告していた。だからアサンジは「“敵”がメールを持っているのなら、都合よく切り取られたり小出しにされたりするのを防ぐために、自分から公表すべきだ」と勧めたと明かしたのである。

 この一連の流れに、トランプ政権に横たわる2つの根本的な問題がある。

 まず、トランプ一家は、アメリカの将来などまったく考えていないこと。自分たちが政権の座につくためなら、そして大統領の立場を守るためなら何でもやる。そこに国家的なヴィジョンはまったくない。

 もうひとつは、すぐ周囲に流されてフラフラする「危うい政権」だということだ。「クリントンを負かすネタがある」と言われればノコノコ出て行って誰とでも会うし、スクープを潰すために「メールを公開したほうがいい」と言われれば、後先考えずに公開する。

“ロシアスパイが生んだ大統領”の支持率が落ち込むのも当然だろう。トランプが国民の支持を失った理由としてもう一つ指摘しておかなければならないのは、「就任以来、何の実績もないこと」だ。この半年間、トランプがやってきたことを列記してみよう。

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