そもそもポケモン自体が昆虫採集に着想を得ており、だったら野山で虫を追えばいいという意見もあろう。が、野村氏が日本でゲームと出会い、その瞬間の感激と、〈いつも本気で目の前のことに取り組んでいた〉と太字で書く情熱が、世界的にも稀なこの大ヒット作を生んだことは確かなのだ。
「それこそ昔はベーゴマやメンコにも文句を言う人はいたと思うんですね(笑い)。スマホや動画に夢中な今の子供がそこから何かを学び、新しい技術や創造的感性を生むとすれば、対象は何だっていいと僕は思います」
そんなワクワク、ドキドキの連鎖こそが、おそらくは次の時代を作っていくのだろう。
【プロフィール】のむら・たつお/1986年中国黒龍江省生まれ。1995年に来日し、練馬区や長野市に育つ。信州大学工学部及び東京工業大学大学院卒。2009年Google Japanにインターン採用され、2011年入社。Googleマップの開発等に携わり、2013年米国本社に移籍。『ポケモンGO』の前身ともなったエイプリルフール企画『ポケモンチャレンジ』を手がけ、その後Niantic Labs(現Niantic,Inc)に移籍。現在もプロジェクトディレクターとして『ポケモンGO』運営を指揮。米国在住。
■構成/橋本紀子 ■撮影/国府田利光
※週刊ポスト2017年9月1日号