◆ゲームを通じてリアルを変える

 1997年、一家は長野に転居。信州大工学部、東工大大学院へと進んだ野村氏の、お金に関する感覚が面白い。コンピュータの基本原理を大学で学ぶ面白さに目覚めた彼は、ふと思い立って全てのバイトをやめ、奨学金を借りることを選ぶのだ。〈社会人になってから、20歳のときの貴重な時間を1時間1200円で買い戻そうとしてもできないということに気づいたのです〉

「今考えてもあれは正しい気付きだったと思っています。奨学金は、未来の自分が20歳の自分の時間を買っていると考えると、とても安いように思いますし、あの時は自分の好きなことを学ぶ時間が一番欲しかった。本書にもプログラミングの基本原理をできるだけわかりやすく書いたつもりです。自分が好きなものは、人にも好きになってほしいですから」

 そしてインターンを経て、入社したグーグル社でグーグルマップの開発に携わる。彼は2014年、エイプリルフールの企画としてグーグルマップ上でポケモンを集める「ポケモンチャレンジ」を企画。人の興味をひいて、説得して、手伝ってもらう。入念な準備と情熱で周囲を巻きこんでいく様は、自ら「石磊」の石を投げ、波紋で人を動かす、〈Leading by influence〉そのものだ。

 さらにこの企画がナイアンティック社、ジョン・ハンケ氏との出会いを生み、〈人が外に出て、人同士でつながったり、身の回りのことを知ると世界がもっとよくなる〉との信念を具現化した位置情報ゲーム『イングレス』との交点に、『ポケモンGO』は誕生する。

「ゲームを通じて人を外に連れ出し、リアルをも変えようとするジョンのコンセプトは僕も物凄く面白いと思ったし、実際に家に引きこもっていた人が他人と交わるようになったとか、ポジティブな話を耳にするのはとても嬉しいことです。

 一方で安心、安全にプレイいただけるように努めるのも僕らの仕事。一定以上の速度で移動するとポケモンが出ない機能をつけたりしました。これからもやるべきことは尽きません」

関連記事

トピックス

大谷翔平は何番を打つか
《どうなる? WBC侍ジャパンの打順》大谷翔平は「ドジャースと同じ1番打者」か、「前にランナーを留める3番打者」か…五十嵐亮太氏と福島良一氏が予想
週刊ポスト
女優・羽野晶紀と和泉元彌の母の節子さん(右・時事通信フォト)
《女優・羽野晶紀“嫁姑騒動”から24年目 の異変》元日に公開された和泉節子さんとの写真から伝わる「現在の距離感」
NEWSポストセブン
日本陸上競技連盟会・有森裕子さん
日本陸上競技連盟会長になった有森裕子さんが語る2026年の抱負「陸上競技の存在価値を高めて魅力を伝えていきたい」 
女性セブン
命に別状はないとされている(TikTokより)
「クスリ漬けにされていたのでは」変わり果てた姿で発見された中国人インフルエンサー、薬物検査で陽性反応…肺感染症などの診断も【カンボジアの路上でホームレス状態で見つかる】
NEWSポストセブン
杉本達治前福井県知事のセクハラ問題について調査報告書が公表された(時事通信フォト・調査報告書より)
〈体が熱くなるの〉〈スカートの中に手を…〉セクハラ1000通の杉本達治・元福井県知事が斉藤元彦・兵庫県知事と「上司・部下」の関係だった頃 2人の「共通点」とは
週刊ポスト
SNS上で拡散されている動画(Xより)
【栃木県・県立高校で暴行動画が拡散】学校の周りにインフルエンサーが殺到する事態に…県教育委は「命にかかわる状況」 弁護士は「典型的ないじめの構図」と指摘
NEWSポストセブン
中居の近影をキャッチ(2025年12月下旬)
《ゴルフ用ウェアで変装して百貨店に…》中居正広、外出頻度が増えている 表舞台では“盟友たち”が続々言及する理由
NEWSポストセブン
16年ぶりに写真集を出す皆藤愛子さん
16年ぶり写真集発売の皆藤愛子 「少し恥ずかしくなるくらいの素の姿や表情も、思い切って収めていただいています」
週刊ポスト
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
《へそ出しタトゥー美女の変わり果てた姿》中国インフルエンサー(20)がカンボジアの路上で発見、現地メディアに父親が答えた“娘と最後に連絡した日”【髪はボサボサ、うつろな表情】
NEWSポストセブン
米国によってニコラス・マドゥロ大統領が拘束された(時事通信フォト)
《大統領拘束を歓迎するベネズエラ国民の本音》「男女ともに裸にし、数日間眠らせず、窒息を繰り返させる…」国連に報告されていた“あまりに酷い拷問のリアル”
NEWSポストセブン
運転席に座る中居(2025年12月下旬)
《三歩下がって寄り添う高級ジーンズ美女》中居正広を今もダンサー恋人が支える事情「この人となら不幸になってもいい…」過去に明かしていた結婚観との一致
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン