ビジネス

スカイマーク 「CAのミニスカ」も払拭し堅実飛行で復活へ

破綻から2年で再上場も見えてきたスカイマーク

 身の丈を超える拡大路線に突き進み、2015年1月にあえなく経営破綻した航空会社のスカイマーク。だが、それからわずか2年足らずで復活を遂げつつある──。

「もともと国内で『ドル箱』といわれる羽田の発着路線を多く持っていたため、普通に経営していれば安定した収益が出る事業モデルだったのに、余計なことをしたから破綻しただけ。それを破綻後に元に戻したら、案の定、復活の兆しが見えてきました」

 こう指摘するのは、航空経営研究所の赤井奉久研究所長。もちろん台頭するLCC(格安航空会社)との激しい価格競争にさらされて経営体力を弱めてきた面もあったが、スカイマークの破綻は、やはり赤井氏もいう“余計なこと”の度が過ぎたことが大きな敗因だ。

 IT企業出身の西久保慎一・元社長が、徹底したコスト削減を掲げて機内の飲み物を有料にしたり、手荷物をセルフ収納させたり、しまいには乗客からのクレームを受け付けないことを発表したりと自らサービスの質を落としてきた。

 その一方で、規模の拡大を狙って席数の多い中型機(エアバスA330)を国内線に導入したほか、国際線に打って出ようと超大型機(同A380)まで矢継ぎ早に購入。その結果、円安や燃料費の高騰も追い打ちをかけ、首が回らない状態に陥った。

 しかし、2015年9月に投資ファンドのインテグラルやANAホールディングスから出資を受けて新体制に移行してからは、不採算路線からの撤退、既存の小型機(ボーイングB737-800)に統一した“堅実飛行”で徐々に収益体質を健全化させていった。

 それだけではない。西久保時代に染みついた「安かろう悪かろう」のサービスイメージも払拭させた。

「ポロシャツやミニスカートで物議をかもした客室乗務員の制服を落ち着いたものに戻したほか、ネスレと提携して機内で飲み物や菓子を無料で配ったり、手荷物預けを20キロまで無料にしたりと、フルサービスに近い態勢になった。また、福岡ソフトバンクホークスを応援する女子たちをモチーフにしたデザイン機『タカガールジェット』を飛ばすなど、イメージアップ戦略も成功している」(全国紙記者)

 それら質の向上が功を奏し、1日約140便(19路線)が行き交うスカイマークの平均搭乗率は見違えるほど伸びている。経営破綻した2015年時には55%程度しかなかった搭乗率は、今年に入り4月=79.8%、5月=80.5%、6月=83.8%、7月=86.2%と格安のLCC並みになっている。

 前出の赤井氏は「ANAの支援を受けているため、運航整備にかかわる質も格段に良くなった」というが、その指摘通り航空会社の“信頼”を図るうえで大きな指標となる「定時運航率」も90%(今年1~5月)を超え、なんとJALに肉迫するレベルに達している。

 だが、原点に戻ったスカイマークがこの先“成長軌道”を描き続けられるかどうかは未知数だ。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト