国内

10年に及ぶ抗がん剤治療の男性を笑顔で看取った家族の思い

在宅看取りの名医・小笠原文雄さん

 岐阜県にある書店・自由書房で発売以来10週連続ベストセラー1位を記録する(6月19日~8月27日。書籍部門)など、話題沸騰中の『なんとめでたいご臨終』。在宅看取り1000人以上の名医・小笠原文雄さんが、自宅で最期を迎えた人たちの奇跡と笑顔のエピソードを綴ったものだ。

 編集部には読者から続々と感想が寄せられている。その中で、「私もこんなふうに旅立ちたい」「こんなふうに看取ってあげたい」という声に続いて多いのが、「本当にこんなことがあるの?」という驚きや疑問だ。それもそのはず。

 本書には、大切な人を看取った直後に、ご遺体を囲んで家族が「笑顔でピース!」…そんなにわかに信じがたい光景が、写真とともに数多く綴られているのだから。

 本書「旅立ちは大好きなコーヒーと」で紹介した根岸貴範さん(仮名)とそのご家族もその一例。根岸さんが亡くなった直後に、ご遺体を囲んで奥さん、お義母さん、娘さんが著者らと一緒に笑顔でピースしている写真が収録されている。

 愛知県に住む根岸さんは悪性リンパ腫などになり、10年にわたって苦しい抗がん剤治療を行っていた。しかし、「夫はもう心身ともに限界」だと思った奥さんが、小笠原さんが院長を務める岐阜県の小笠原内科に相談に訪れた。抗がん剤を続けるかどうか、その選択は決して簡単ではなかったが、小笠原さんの在宅医療を受けながら、家族とともに最期を自宅で過ごすことを決断した。

 そして根岸さんは今年1月15日の朝、奥さんが見守る中、穏やかな顔で旅立った。それは、根岸さんが大好きだった、奥さんの煎れたコーヒーの香りが部屋に広がる中でのことだった。

 どうして笑顔でピースの写真が撮れたのか。奥さんから編集部に届いた手紙には、読者の驚きや疑問に答える「笑顔でピースをした理由」が綴られていた。掲載の承諾が得られたので、ここに掲載したい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン