「私はあの日の午前6時頃、携帯電話の緊急速報メールの受信音で目が覚めました。横で寝ていた女房に慌てて起こされ、寝ぼけ眼のままリビングのテレビをつけると“北朝鮮がミサイルを発射した”という。

 驚いて携帯のメールを確認すると、こちらにも“ミサイル発射”と書かれていた。後から知ったところでは、その情報を知った時にはミサイルはもう北海道の上空を通過して海に落下していたようです」

 北朝鮮がミサイルを発射したのは午前5時58分。6時2分にJアラートが発令され、6時12分に襟裳岬東約1180km沖の太平洋上に落下していた。

「北海道上空を通過したのは、おそらく6時5~6分頃。メールを見てから取れる行動は皆無に等しかったことでしょう」(同前)

 今回、携帯画面に〈頑丈な建物や地下に避難してください〉との避難呼びかけがされたが、近くにそんな建物も場所もない地域では、パニックになる人が大勢いたという。マニュアル的な避難指示が、混乱に拍車をかけた面もある。

◆格安スマホは鳴らない

 長谷川氏が書いたように〈役立たずの典型〉だと言われるのは、鳴らなかった地域もあったからだ。今回、約40の自治体で防災無線や携帯メールが届かなかったという。“不発”に終わった理由は様々なようだが、想定以上に多かったのが、携帯電話が対応していなかったというもの。

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