そもそも、子供は親にいじめの事実を言わない。どうにもならなくなってから打ち明けるのが大半だと語るのは、7000件近くのいじめ調査を行ってきたT.I.U総合探偵社代表の阿部泰尚さんだ。
「反抗期の子は親と話をしたがらないし、親に心配かけまいと明るく振る舞い、突然自殺する子もいます」
厚生労働省の調べによれば、いじめられている子供で保護者や家族に相談したケースは3割に満たない。
一方、阿部さんの調査では、自分の子供は、いじめに遭っていたら自分に相談するはずだと思っている親は8割以上に上る。そのため、「相談してこないから、学校でうまくやっている」と思い込んでしまう親が多いのだ。この親子の“温度差”が悲劇を生む一因にもなっている。
しかも、ネット上での子供たちのやり取りを見ても、それがいじめとはわからないようになっているのが、問題をより複雑化させている。
「あるいじめ自殺事件の加害者グループは、LINEのグループトーク上で、故人に『反語』という言葉を何百回も投げかけ、追い詰めていました。他の生徒に聞くと、『その二文字を言われたら、本人は相当つらかったはず』と話していましたが、この『反語』という言葉の意味は、仲間内にしかわからない、いわゆる“隠語”。教師や親も“死ね”などの言葉があれば気づきますが、こういった隠語を見つけても、いじめと認定するのは非常に難しいんです」(阿部さん)
日頃からひざとひざを突き合わせて話す時間をもうけるなど、コミュニケーションを取っている親子ほど発見が早いと阿部さんは続ける。子供が話しやすい環境ができているからだ。しかし、そうでない親子が多いのも現実。親から会話をしようと働きかけても、反抗期の場合は「うるせえ」と、余計に心を閉ざしてしまうケースも多い。
※女性セブン2017年9月21日号