ビジネス

「いきなり!ステーキ」創業4年目でも快進撃が続く理由

ランチのワイルドステーキ300g

 ステーキレストラン「いきなり!ステーキ」の業績が伸びている。快進撃の秘密はなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が分析する。

 * * *
 立ち食いステーキ業態の「いきなり!ステーキ」の快進撃が続いている。2013年12月の創業から4年弱。チェーンの飲食業態としては踊り場にさしかかってもおかしくない時期だが、7月度実績でも売上高27.1%増と、ここにきてますます弾みがついている。短期間に急成長を遂げ、しかも3年以上に渡り成長が続く業態は珍しい。運営会社のペッパーフードサービスは、8月8日に東証2部から1部への移行を発表した。

 飲食ビジネスにおいて「必ず成功する」業態はない。味、価格、人材、資本、経営方式など考えるべき要素は多岐に渡るが、とりわけ「味と原価」はほぼ比例している。少しくらいの気の利いたアイデアではこの関係をひっくり返すことはできない。その一方、成功の確率を高める道筋は存在する。世の趨勢を見極め、顧客が望むものをひとつでも多く提供する。その積み重ねで一過性のブームをトレンドへと引き上げることはできる。

●潜在ニーズを取り込む施策

「食文化の創造」を謳う「いきなり!ステーキ」は、話題になるような仕掛けを次々に繰り出している。「1g=5円」の量り売りで話題を呼び、日本人の嗜好に合うよう、豪州産でも穀物肥育の鳴尾牧場の牛肉を選定。メニューによっては食材原価が7割を超えると明言。銀座に1号店を出店して以来、「オトク感の演出」は現在に至るまで通底した仕掛けとなっている。

 決定的な差別化のポイントはスピードだ。これまで外食における「肉」は注文から調理、提供までの時間が10分、15分とかかるのが当たり前だった。しかし、同店ではランチ時の客の滞在時間は注文から提供、食事時間に会計まで含めて平均約20分。5分10分並んだとしても、昼休みの1時間でお釣りが来る。多少の行列があっても、提供スピードに対する信頼感を得ることでリピーターの獲得に成功した。

 世の動きにも敏感だ。2015年夏には「シニア半額!」と銘打った半額メニューを導入。高齢化社会のなか、「長寿には肉食!」というアクティブシニア層の取り込みをはかった。同年11月にはもはやトレンド化している糖質制限対応をスタート。ランチメニューのライス抜きは100円引き。直営店舗ではつけ合わせのコーンをブロッコリーやインゲンなど糖質の低い野菜への変更もできるようになった。

 さまざまな角度から客の潜在ニーズをすくい取り、一定のスピード感とともに実現していく。「この業態に見込みがある」と見るや、その業態に集中して注力するのも成功の条件のひとつである。

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン