翌日、菅義偉・官房長官にはマスコミから同様の質問が相次いだが、「事柄の性質上、答えることは控えたい」と煙に巻いた。
西村氏や菅氏はいずれも肯定も否定もしていないが、そもそも北朝鮮のミサイル実験を事前に把握することは可能なのか?
これまで北朝鮮は日本上空を通過するミサイルについて、国際海事機関などに打ち上げの期間や発射時間、落下予定海域を事前に通告していた。その際は「人工衛星の打ち上げ」などと申告してミサイル実験してきたが、8月26日と29日は19年ぶりの「無通告発射」だったとされる。
それを安倍首相が事前に把握していたとすれば、どういう情報入手ルートが考えられるのか。安全保障に詳しいジャーナリストの織田重明氏が解説する。
「北朝鮮内の動きは米国が軍事衛星などで監視しています。発射場周辺を警戒警備する保安部の活動が活発化してきた、金正恩の護衛部隊が発射場の近くを視察しているなどの情報が“発射の兆候”として報告されています。
8月のケースは、ICBMに液体燃料を注入している様子が見られたことがきっかけだったと言われています。液体燃料を入れるのに1~3時間かかり、腐食を避けるため遅くても一両日中には発射しなくてはならない。こうした動きを米軍が把握後、ただちに在日米軍司令部から自衛隊の統合幕僚監部に通報。防衛省経由で官邸に上げられ、“今日か明日には発射される”という認識が官邸で共有されていたのではないでしょうか」