ライフ

新発見の直筆手紙で判明 「西郷は龍馬暗殺の黒幕説」の真実

発見された6枚のうち、西郷について記した1枚[高知県提供] 時事通信社

 維新の立役者としての功績もさることながら、人間的魅力によって語られることが多い西郷隆盛。西郷に全幅の信頼を寄せていた坂本龍馬の手紙から、その人柄が垣間見える。「龍馬の手紙」研究の第一人者である宮川禎一・京都国立博物館上席研究員が分析する。

 * * *
 坂本龍馬が残した中で最も長く、最も有名な直筆の手紙が見つかった。慶應2(1866)年12月4日、長崎から郷里の兄らに宛てて書かれたもので、写しにより文面は知られていたが、現物はすでに焼失したとされていた。ところが、札幌在住の男性が龍馬の親戚から譲り受け所有しているとの話があり、私が実際に訪ねて調査したところ本物と判明。今年6月に報道され広く知られることとなった。

 この手紙の中に、龍馬と西郷隆盛との関係をうかがわせる重要な記述がある。寺田屋滞在中の龍馬が、伏見奉行所に襲われた事件(同年1月23日)に触れて、「この事件の時嬉しかったのは、西郷吉之助(隆盛)が、京の藩邸でこの事件の一報を聞き、まず西郷自身が短銃に弾を込めて、私を伏見まで助けに来ようとしてくれたことです」と書いている。

 龍馬と西郷が最初に会ったのは、この手紙から遡ること2年。師の勝海舟の紹介を受けてのことだった。龍馬はその時の感想を「釣り鐘に例えると、小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く。もし馬鹿なら大きな馬鹿で、利口なら大きな利口だろうと思います」と勝に語っている。

 龍馬と違って手紙が多くは残っていない西郷の場合、周囲の人の述懐からその人物像を類推するしかない。龍馬との関係からわかる西郷隆盛とはどんな人物だったのだろうか。 

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン