野島さんが描こうとしているのは、男女の間に横たわる究極のカセ。それは、セックス依存症でした。しかし、セックス依存症を「性嗜好障害」という病気としてとらえ、それに立ち向かう純愛を描こうとするのが野島脚本。また、野島さんは番組ホームページ内で、「私の中にいる作家は、極限状態に置かれた人間の本質を描きたがります」と語っていました。「セックス依存症は人間の本質を描くための設定であり、単なる不倫ドラマとは一線を画す」と言いたいのでしょう。
実際、第1話から「立木彩(佐々木希)が衝動を抑えられず、出会い系で名前も知らない男たちに抱かれてしまう」というセンセーショナルなシーンが続出。夫の立木信夫(玉山鉄二)を深く愛しているからこそ苦しみ、セックス依存症を治すために涙を流しながらカウンセリングを受けるシーンもありました。
なかでも印象的だったのは、彩がカウンセラーに「体の中の血管がなんかムズムズしてきて。それから、固まって、赤い虫……ムカデみたいな……ザワザワ体中をはうような。それからどんどんボーッとして」「(無意識で)服を着替えてます。それも派手な。いつ買ったかも覚えていないんです。私自身が赤いムカデになって……」と吐露したセリフ。詩的で優しい描写の中で、心のひだをえぐるような鋭さを放つ、往年の野島ドラマそのものでした。
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