主題歌にボズ・スキャッグスの名曲『We’re all alone』を選んだところも、まさに1990年代の野島ドラマ。『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』でサイモン&ガーファンクルの『冬の散歩道』、『未成年』(TBS系、1995年)でカーペンターズの『Top of the World』、『美しい人』でジェーン・バーキンの『無造作紳士』が流されていたころを思い起こさせ、聴いているだけで、切なくも狂おしい世界観に引き込まれていきます。
ちなみに、『We’re all alone』のサビを日本語意訳すると、「大丈夫だから、何も心配ないよ。忘れよう、すべてやり直そう。できると信じてみるから」「やり直すんだ。ぼくを抱きしめて」。包み込むような歌声とともに、歌詞も見事にシンクロした選曲は、さすがとしか言えません。
「課金ドラマなんて」と思うかもしれませんが、この作品に関しては迷うことなく、「見る価値アリ」です。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。