純愛を追い求める野島ドラマは、ヒロインを輝かせることでも知られています。たとえば、1990年代では『高校教師』の桜井幸子さん、『聖者の行進』の酒井法子さん、『美しい人』(TBS系、1999年)の常盤貴子さんらが、ピュアなヒロインとして男女を問わず支持を集めました。今作でも、ヒロインの佐々木希さんがどの作品よりも美しく見えるのは、野島脚本によるもではないでしょうか。新妻の役だけに、4月に結婚したプライベートの姿が薄っすらオーバーラップするのも見どころのひとつです。
その他のシーンでも、老作家が女性新人編集者の服を脱がせたり、出会い系にハマる同僚がいたり、上司がアルコール依存症だったり、彩が出会い系で知り合った男に襲われるなど、「さすが地上波ではなく、動画配信サービスのHulu」と思わせる過激なシーンが次々に訪れます。
これは裏を返せば、「動画配信サービスなら、過激なシーンを思う存分書ける」ということ。すでに多くの作品を手がけ、ヒット作を生み出してきた野島さんは、ことあるごとに「視聴率に興味はない」と明言してきました。さらに、「地上波ドラマではコンプライアンス云々と言われてしまう時代に、Huluが『ここなら描いていいよ』と言ってくれて、とても感謝しています」とも語っています。
今後は野島さんの主戦場が、規制の多い上に視聴率に関するネガティブな報道が飛び交う地上波ではなく、Hulu、Netflix、Amazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスに変わるかもしれません。もしそうなったら……衝撃作を連発という1990年代の再現もありえるでしょう。
◆物語にシンクロした主題歌にも注目