「国際社会の制裁が増えれば、我々の核開発計画は加速するのみだ」──9月18日、北朝鮮は国連安全保障理事会の追加制裁に対し、そう表明した。
北朝鮮にとって核は常に外交の切り札となっている。北朝鮮は核を盾に日本を含む5か国に巨額援助要請をしていたとする情報が飛び交っていた。
それは中国の大手ニュースサイト『中華網』をはじめ複数のネットメディアが今年5月に報じたもので、中朝が昨年8月から核・ミサイル放棄を目的とした秘密交渉を続けているという内容だった。中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏が言う。
「もともとこの記事は香港の反共オピニオン誌『争鳴(ズェンミン)』が初報で、それが数日後にそのまま中国の大手サイトに転載されたことにまず驚きの声が上がりました。中国はネット上のあらゆる情報も政府の“検閲”の対象となります。反中国系メディアの報道であればなおさらで、しかもこのような政府間の裏交渉が記事になることは珍しい」
記事のタイトルは〈中朝密談? 北朝鮮が1年600億ドルを要求する4条件を提示〉とあり、北朝鮮は「核・ミサイル放棄」の条件として、
〈中国、米国、日本、ロシア、韓国が10年間にわたって年間600億ドル(現在のレートで約6兆6000億円)を無償提供する〉
などの条件を提示したというものだ。さらに記事は、〈双方の争議は結論を見いだせていない。中国政府が、経済援助は別途の検討事項だと突っぱねたからだ〉と続く。