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「自転車は命の恩人」 がん克服した元校長が選んだ第二の人生

ボランティア活動に勤しむ板垣信明さん(撮影/大塚恭義)

 定年退職までは、家族のため、会社のために働いてきたけど、リタイアしてからはどうしよう──そんな、「第2の人生」のスタート地点で、選択肢の一つとして出てくるのが、ボランティアだ。“これからは、社会のために”と一念発起し、「定年後ボランティア」で汗をかく老後を選んだ人に密着した。

「目の不自由な人に自転車を楽しんでもらう」をコンセプトに、ボランティア活動に勤しむ板垣信明さん(67)は、山形大学卒業後、飛鳥道路に入社。37歳で退職後、専門学校講師を経て51歳で「国際トラベル・ホテル・ブライダル専門学校」の校長に就任したものの、59歳の時に中咽頭がんを発症してしまう。治療のための入院は1年に及んだ。

「放射線と抗がん剤の副作用で体重が17kgも減り、体力が急激に落ちました。そこで自転車を始めた。通勤も自転車に切り替えて、どんどん体力が戻ってきました。自転車は本当に命の恩人です」

 ところが2013年、通勤の途中で大事故に遭ってしまう。

「右折してきた車にはねられたんです。肋骨が10本折れて肺に穴も開きました。4か月の入院です」

 それでも、“命の恩人”である自転車をやめることはなかった。

「女房は反対でしたが、やめろと言われるとやりたくなるのが団塊の世代(笑)。退院後は自転車活動をさらに活発にした。その時に、『自転車で人の役に立つ』という目標を立てたのです」

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