バラエティー番組でAIを使用するときに期待されているのは、人間にはない奇想天外さ。自由な発想でアイディアを出すこともあれば、シビアな極論でバッサリ斬るなど、タレントができないことや視聴者が想像していないことを言い切ってしまえるのが強みです。
その奇想天外さは、もともとテレビ番組に求められているものであり、いかにもテレビマンたちが好きそうなもの。その意味で、『AI-TV』は、AIとゆりやんレトリィバァやフースーヤら「鮮度の高い若手芸人を絡ませよう」という奇想天外さの化学反応を狙った番組と言えるでしょう。
今後もAIを使った番組は間違いなく増えていくはずです。たとえば、AIがMCを務める番組、AI同士の漫才やコント、情報番組のAIアナウンサーやAIコメンテーター、クイズ番組のAIタレントなどがいつ登場してもおかしくありません。
今はまだ実験的な段階ですが、私たちの社会や生活にAIが浸透していくように、「テレビ画面の中にAIがいるのが普通」になる時代はそう遠くないでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。