「スマホから出ているブルーライトは紫外線に近い可視光線で、強いエネルギーを持っているため、水晶体と網膜の中心部にあたる黄斑部に影響を及ぼします。結果、白内障や黄斑変性という深刻な目の病気を引き起こしてしまう。また、ブルーライトは網膜の視神経乳頭部(脳から出た視神経が眼底網膜に顔を出す部分。神経繊維がほとんど露出しているためデリケート)にも刺激を与えるため、正常眼圧緑内障になるリスクも高まります」(森岡院長)
医師や研究者らで構成されるブルーライト研究会は、パソコン、ゲーム機、液晶テレビなどを使用した際に目がさらされるブルーライト(460ナノメートルのもの)の量を比較し、スマホの場合が最も多いという研究結果を発表している。
それでも、シニアのスマホ依存傾向は高まっている。今年7月に総務省情報通信政策研究所が発表した「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によれば、スマホなどのモバイル機器によるインターネット利用時間は、20代がピークで、50代、60代と世代が進むにつれて減っている。しかし、実際にモバイル機器を使っている人の休日1日の「利用項目ごとの平均時間」を見ると、驚くことに「動画サイト」は60代が全世代の中で突出して多い(195分。20代では118分)。
時間があるシニアほど、スマホで目に負担をかけ、自らスマホ老眼に進んでいってしまっているのだ。
※週刊ポスト2017年10月27日号