国内

70万部突破絵本『ノラネコぐんだん』 著者が語る人気の秘密

著者が語る大ヒット絵本『ノラネコぐんだん』

 多くの人に愛されている猫は、絵本の分野でも圧倒的な人気を誇っている。中でも今、子供はもちろん大人もハマっているのが『ノラネコぐんだん』(白泉社)だ。ノラネコたちの奇想天外な悪だくみを描く物語と、スピード感のあるかわいいイラストで、シリーズ累計70万部を突破するベストセラーになり、関連商品まで発売されている。著者・工藤ノリコさんにヒットの理由を聞いた。

 * * *
 実はこのノラネコたちは私が昔、就職情報誌に描いていた4コマ漫画『がんばれ!ワンワンちゃん』のいち登場人物だったんです。スタートしたのはもう20年近く前ですが、主人公が真面目でがんばる犬だったので、それを翻弄するようなノラネコの集団を考えたのが最初でした。その頃の軍団は、もっとひどい悪さをしていて、数も今よりもっと多かったんですよ。

 それを新しい絵本を作るにあたって、悪さをするノラネコを主人公にしたんです。最初が「パンこうじょう」、続いて「きしゃぽっぽ」、「おすしやさん」、「そらをとぶ」と来て、11月に発売する新刊では「アイスのくに」を舞台にしています。毎回、「ドッカーーン!!」という爆発を楽しみにしてくださっているかたが多いので、爆発して楽しい場所を考えて作っています。

 現在は、半年に1回新作を発売しています。いちばん時間がかかるのは下描きです。下描きを書いてから本番用紙にトレースして色を塗るんですが、ノラネコたちの形とか表情とか、8匹いるので、とても時間がかかるんです。

 ちょっとした表情を、その状況にふさわしいものにしたいと思っているんですが、何度やってもうまく行かない時がある。「あ、やっちゃった」とか「あれっ」と思っている顔とか、悪だくみがバレて正座をしている時の、お説教を神妙に聞いてはいるけど反省はしていないような微妙な空気感の中にいてほしいときの表情が特に難しいですね。

 ノラネコぐんだんは8匹もいるので、1匹ずつ名前がないんですか?と聞かれることもありますが、名前はないんです。私の中では、彼らは集団で存在しているというイメージ。

 リアルな人間社会の地続きにして、現実味を盛り込みたくないんですね。あくまでも集団で動いて面白いことが起きるという物語を考えています。それがちゃんと起承転結で描けていることが、たくさんのかたに読んでもらえている理由じゃないかと思っています。

 というのも、私自身、小さな頃からたくさん絵本を読んできましたが、子供の時に読んでいた『ひとまねこざる』が今でも好きでよく読んでいます。それは主人公がかわいいというだけでなく、何よりお話が面白いからです。

 今、実はノラネコぐんだんが出てくる文字を中心とした読み物を作っています。絵本を読んでいたちびっ子たちを、児童書に橋渡しするような本にしたいと思っていて、出来上がりがとても楽しみなんです。

※女性セブン2017年11月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン