ライフ

小学生はなぜHIKAKINに憧れるのか、動画を観ながら考えてみた

小学生はなぜHIKAKINに憧れるのか(イラスト:ヨシムラヒロム)

 総務省と東京大学が昨年、行った調査によれば、10代と20代ではテレビよりネットの視聴時間の方が長いことがわかっている。大人気のYouTuberですと紹介されても、大人にはピンとこない。なぜ、彼らは子供たちから支持されているのか。イラストレーター、コラムニストのヨシムラヒロム氏が、小学生がなぜHIKAKINに憧れるのかについて考えてみた。

 * * *
 動画は動乱の時代である。その萌芽を感じていたのは2013年頃か、YouTubeを開くたびに、動画欄に笑顔の男がいる。ある日、ふとその顔をクリックした。

 サングラスをかけたキャラクターのアニメーション、続いて現れたのが「ブーンブーンハローYouTube」と変声で挨拶する一般男性。これがHIKAKINとの初対面であった。その際に見た動画の内容については忘れたが、つまらなかったことだけは覚えている。

 数ヶ月後、「HIKAKINの再生回数がやばすぎる件」といったニュースを読む。彼がYouTubeに動画をあげ、視聴回数によって多額の広告収入を得ている。また、若者にも大人気でエアロスミスと共演も。

 驚愕的な事実、自分が「つまらね」と切り捨てた男は現代のカルトスターだと知った。審美眼のなさに凹みつつ、帯も正しつつ、再度HIKAKINの動画を訪ねる。

 しっかりと見たが「そこまでか・・・」と思ったのが本音。やっていることは、ハイテンションで商品のレビューをすることのみ。芸人並みの話術があるわけもなく、ここでしか得られる情報もない。

 周りの知人に「HIKAKINのどこがいいのか?」と聞いて回ったが、一様に「分からない」と答える。大人の鑑賞に耐えうる動画ではない、自分のなかでそー結論がでた。

 当時はビデオブロガー、YouTubeクリエーターと呼ばれ、まだ市民権は得てなかったYou Tuber。僕は一過性のブームだと思っていたが、予想は大外れたわけだ。

 2017年現在のYouTuberは小中学生の憧れの職業。HIKAKINも紅白歌合戦にも出場する日本を代表するポップスターとなった。

「三度目の正直だ!」と動画を見たのが、つい先日。HIKAKINの魅力を理解するため、50本の「Hikakin TV」動画ノックを決行した。

 2011年7月19日の初回では、自己紹介とともに「子供が出来た時に見せてあげたい」と動画を撮影する理由を真面目に話す。

 翌日、2本目は商品紹介。取り上げたのは、ピルクル(100円くらい)という乳酸菌飲料である。

 そして時代は飛び2017年7月8日。「HIKAKIN、人生で最大の買い物をする」というタイトルの動画。ここでHIKAKINが紹介したのが、ルイ・ヴィトンとシュプリームがコラボした商品諸々。総額は1,500万円なり。

 たった6年でピルクルからヴィトン、確かに夢はある。2013年に発刊された著書「僕の仕事はYouTube」にも、夢をつかむことの重要性を説いていたっけ。つまりmake the big money、小学生が憧れる理由もよく分かる。

関連キーワード

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン