芸能

『全員死刑』間宮祥太朗のチンピラ役は静岡の不良のお墨付き

映画『全員死刑』で商業デビューした小林勇貴監督

 かつて福岡県で起きた4人殺害事件は、被告である家族4人全員に死刑判決が下った衝撃的な事件だった。その死刑囚一家の次男による獄中手記をモチーフにした映画『全員死刑』(間宮祥太朗主演)が11月18日(土)に公開される。本物の不良による迫力ある暴力描写の自主映画が評判を呼んでいた小林勇貴監督にとって、これが商業作品第一作となる。初めてプロの役者と仕事をして感じたこと、アウトローによる凄惨な事件を、どうやってエンターテインメントに昇華していったのかについて聞いた。

 * * *
──商業デビュー作品となった『全員死刑』では、初めてプロの役者さんたちと映画をつくっていくことになりました。自主作品のときと、どんな違いがあったのでしょうか?

小林勇貴(以下、小林):これまで不良たちと映画を撮りながら、できないと言われているものに触れたことについてはすごく自信があります。その一方で、役者さんから「本物の不良に(暴力の演技を)やられちゃうと、本物には勝てないからね」と言われたことがありました。いや、そんなはずはない。プロの役者さんに演じてもらったら、もっと素晴らしくなるはずだと証明したかった。その気持ちに間宮君ものってくれて、応える以上のことをしてくれた。本当にいいオトコだなと思います。

──主演の間宮さんは青春映画ヒロインの相手役や美少年役のイメージが強くあります。なかには腹黒い役回りもありましたが、今作の主人公、タカノリは腹黒どころか鬼畜なチンピラです。本物の不良ではない間宮さんがアウトロー役と聞いて、とても驚きました。

小林:間宮君のチンピラ役は、まったく心配ないです。これまで自主映画を撮ってきた静岡の不良たちからも大絶賛で、お墨付きです。仮編集のとき彼らにも見てもらったら、間宮君のことを「この兄ィ、すごい気合い入ってますね!」「おっかねえ、うぉー!!」と本気の感想が聞けて、すごく嬉しかった。そして「勇貴くん、いいオトコつかまえましたねえ」とも言われて、ものすごく幸せです。

──商業映画になると制約が多くなるという意見もありますが、まったく違う体験だったようですね。

小林:楽しくてしょうがなかったです。商業映画いいですね、やみつきになりますね! もう、面白くて仕方なかったです。プロの役者さんとの撮影は、すごく刺激的な体験でした。不良の子たちの場合は、一発でしか撮れないチャレンジ的なものならともかく、演技が介在する部分でテイクを重ねたり段取りを何回もやっていると、飽きてきて質が落ちることがありました。でも、役者さんたちは逆に、回数を重ねるごとに練度が上がり、イメージしたモノに近づいていってくれる。夢のような作業でした。

 撮影そのものは2週間くらいで大変な日もありましたが、その大変の意味が全然、違う。これまでだと出演者が現場に来なかったり、急に逮捕されたり、事故に巻き込まれたりなど色々ありましたから。旧車會の親分がいきなり撮影現場にあらわれて「説明しろよ」と言いがかりをつけるのを、冷や汗ダラダラ流しながら「帰ってください」と押し問答したりしていたので(笑)

──迫力ある暴力描写と同時に、思わず笑っちゃうような様子を必ず描いてきましたが、今回も同じように、暴力と笑いが同居していますね。

小林:黒い笑いはあるべきだと思うので、意図してそうしています。育った場所が治安がよいとは言えなかったので、暴力沙汰に出くわすことがときどきありました。そしてなぜか、そこには笑ってしまうこともセットで起きるという実感を得ています。緊迫の瞬間なのに、これはジョークだよね、ということが起きてしまう。暴力と笑いが同時に起きるのは自然の成り立ち、自然現象なんだと思います。

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン