ライフ

ブランド米が今年、とりわけ大豊作となった理由

新ブランド米「雪若丸」を披露した吉村美栄子・山形県知事ら(時事通信フォト)

 うまいコメは何よりの明日への活力である。そう感じている人は特にラベルに気を配る時代だ。昨今はブランド米の競争が激しい。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。

 * * *
「コメ離れ」が叫ばれて久しい。その一方でこの数年、コメの新ブランドが続々登場している。

 とりわけ今年は、新潟県「新之助」、福井県「いちほまれ」、岩手県「金色の風」、石川県「ひゃくまん穀」ど新しいブランド米が市場に本格投入された当たり年。岩手県に至っては昨年の「銀河のしずく」に続き、2年連続の新ブランド米の市場投入だ。来年も、山形県「雪若丸」や宮城県「だて正夢」、富山県「富富富」、熊本県「くまさんの輝き」などが本格デビューを控えている。

 過去、これほど百花繚乱たるブランド米が立ち上がったことはない。ブランド米は長らく「コシヒカリ」「ササニシキ」の独壇場だった。1980年台に宮城県から「ひとめぼれ」、秋田県から「あきたこまち」が投入され、コメに多様化への道が拓けた。1990年代には、北海道「きらら397」や宮崎県「ヒノヒカリ」などが登場し、産地が一気に多様化。現在、国内には700以上のブランド米があると言われる。

 とりわけ今年、ブランド米(の種類)が”大豊作”となったのには理由がある。最大の理由は地球温暖化だ。コメは、出穂期──穂が出た直後に気温が高すぎると質が悪くなる。気温が高いと玄米の色が白濁した「白未熟粒」が発生する。2008年の調査では、37の府県でコメの品質の低下が報告されていたという。

 決定的だったのは、2010年の猛暑だ。コメの品質は水分や形、大きさなどにより1等米~3等米まで振り分けられるが、この年の猛暑は1等米の比率を前年の85%から61%に急落。とりわけ新潟は1等米の比率が19%まで激減。農家に大きなダメージを与えた。温暖化がコメに悪影響を与えるという事実を、全国の農業従事者が共有した。

 そして各地方が新しいコメづくりに本腰を入れ始めたのはこの頃。日本でもっとも多くの作付面積を誇るコシヒカリは暑さに弱く、次なるブランドの開発が急務とされた。圧倒的なブランド力とシェアを誇るコシヒカリの玉座が空く可能性が出てきたとなれば、各県が躍起になるのも無理からぬことだ。

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン