国内

御厨貴氏が選ぶオーラル・ヒストリーの名著7作 

東京大学客員教授の御厨貴氏

 近年注目を集めているのが、自分の言葉で自分語りをするオーラル・ヒストリーだ。書店を訪ねれば、多くのオーラル・ヒストリーが書棚に並んでいるが、どれを選べばよいのか? 政治学者の御厨貴氏が名著7作を紹介する。

 * * *
 オーラル・ヒストリーとは何か。人の記憶を呼びさまし、記録をとり編集して広く一般に読んでもらう作業全般を言う。語る人は公人、芸術家、フツーの人とその幅を次第に広げてきた。

 ともすれば、政治家や官僚の一度限りの体験談を追い求めるのが、オーラル・ヒストリーの手法と勘違いされてきた。読む人の心に響くのは、個々の体験が普遍性を帯びているかどうかだ。自分自身の30年近くの実践の中で、その答えは少しずつ明らかになってきた。

 今私は「オーラル・ヒストリー・クラッシックス」という分野を確立しつつある。その場限りのはやりでいずれ読み捨てられてしまうものではなく、時がたつに連れて、古典的価値に次第に磨きがかかってくる作品があるのだ。これには2つのタイプがある。

 第1は、版を重ね版を改め、なお今日に至っても現役の定番として生き残った作品群である。【1】『岸信介証言録』(原彬久編)は、その筆頭に掲げられる。妖怪と言われた権勢の政治家と堂々と渡りあった雄々しい記録だ。原の問いかけも直球だが、岸の答えもど真ん中でなくともはずれてはいない。戦後政治を考える上で、はずせぬ一冊だ。

 同じ原による【2】『戦後政治の証言者たち』もあげておこう。オーラル・ヒストリーを底本として藤山愛一郎、福田赳夫、三木武夫、赤城宗徳らを実にビィビィッドに描いている。

関連キーワード

トピックス

山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
「とにかく献金しなければと…」「ここに安倍首相が来ているかも」山上徹也被告の母親の証言に見られた“統一教会の色濃い影響”、本人は「時折、眉間にシワを寄せて…」【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン