iTuneカードやアマゾンのギフトカードのコードを要求するときくと、LINE乗っ取り詐欺を思い出す人も多いだろう。詐欺の常套手段として使用される電子マネーをSNS経由で要求されれば、警戒するのが普通ではないかと思うかもしれない。ましてや、会ったこともない女性からの要求に、ホイホイと答える男性は少ないのではないか。

 ところが、特に”エロ写メ”の交換まで至った男性の多くは、金額の多寡はあるが、ほとんどが支払いに応じるのだという。

「エロ写メまで交換したのだから……と、関係性が深まったと勘違いする”面倒見のいいやつ”もいれば、当然怒るやつもいる。そういう時は、携帯代が払えなくて親に没収される、親に携帯を見られればあなた(男)のこともバレてヤバイ、などと返せば、相手だって当然ビビる。それでも応じないやつには、女性の彼氏や親のフリをして、訴えるなどとメッセージを送りつける。架空の女性とやりあえばやり合うほど、絶対に逃げられないと追い詰められた気持ちになる。だから払うんです」(現役構成員)

 脅迫行為にしか思えないが、騙された男性はそれでも警察に届けたり訴える可能性は少ない。それはやはり、自身の恥ずかしい写真や動画を送ってしまっている、という後ろめたさ、恥ずかしさから、誰にも言えない状況になってしまうのだという。

「脅迫も何も、相手が自発的に送ってきているんですからね。言い訳のしようがない。妻や彼女、家族や友人にバレるくらいなら…って気持ちなんだろうけど、それでもなお、架空の女性と連絡を取りたいと、騙されたことに気がつかない連中もいる。少額だけど、ずっとカネを送ってくるような……」(前出の構成員)

 このように、ヤクザだろうが半グレだろうが、そして高校生でさえも「女性に成りすます」ことができる。さらにSNS空間では、親しくやりとりを続けるほど、実際に顔を合わせたこともない相手のことを、なぜかよく知っていると思い込みがちだ。気心が知れているから信用できるという状態はつけ込まれやすい。わずかな下心を刺激され、うっかり食い物にされる状況を自ら作り出しやすい。

 金にしても、女にしても、現実で滅多に出会えないような都合のよいことがSNSだからと自分の身に起きるものなのか。その虫のよい想像によって生み出される心の隙間に、簡単に悪意が入り込んでくるのだと肝に銘じたい。

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