ライフ

ミシュラン2つ星フグ店では土鍋からも旨味が溶け出す

看板料理のてっさ「日本晴れ」

 ふぐが美味しい季節になってきた。勇壮なだんじり祭で知られる大阪・岸和田。城下町の面影を残す町並みの一角で100年以上前からフグ好きの舌をうならせてきたのが、大正2(1913)年創業の老舗フグ料理店「喜太八」(大阪・岸和田市)だ。

 一子相伝の独創的な料理をコースで楽しめ、ミシュラン二つ星も獲得している。包丁と腕を振るうのは、二代目当主の北濱喜一さん(88)。フグを知り尽くした料理人であるとともに、世界的なフグ研究家の顔も持つ。

「北濱家はもともと江戸時代から続く廻船問屋でした。父である先代が趣味でフグ釣りに出かけては釣果を調理して周囲に振る舞っていたのが、本業になってしまったんです。大正2年当時からすでに20数種類のレパートリーがあり、私は初代から継承したものを守り続けているだけ。どない考えて作ったんかいなと思う料理ばかりですわ」

 こう話す北濱さんだが、自身が考案した白子の含め煮「福錦」を目当てに、シーズン中に何度も訪れる常連も多い。熱を加えると崩れやすい白子の形を保ちながら、出汁の旨味を中心部まで浸透させる秘技は圧巻としか言いようがない。

 コースは1万6200円(1人前)~。突き出しの骨煎餅から締めの雑炊まで、まさにフグ尽くし。どのコースにも入る、てっさ「日本晴れ」は創業当時と同じ、唯一無二のスタイルを貫く。向こう側が見えるほど透き通った薄い身は、初代・喜太郎さんから受け継いだ「姿引き」という技で切られている。

「フグの身100g中、脂質は0.1%しかなく、本来は味があまりしません。まず旨味を出すために8~10時間熟成させます。旨味のカプセルは身の繊維に沿って並んでおり、繊維に沿って包丁を入れる姿引きによってカプセルに旨味を閉じ込めたまま、お客様にお出しすることができるのです」(北濱さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン