美恵子さんのヘアカットが掲載された『クウネル』では、60ページ以上にわたって、「大人の女性の髪形」大特集が組まれている。同誌の淀川美代子編集長が言う。
「花田さんだけでなく、女性は50才という節目が近くなると、人生を見つめ直す人が多い。もっとポジティブな自分になりたいとか、肩の力を抜きたいとか、もう一度頑張りたいとか、これからどう生きるかを真剣に考えます。
そんなとき、髪形を変えることが人生をリセットするきっかけとなるんだと思います。実際、髪を切っただけで、気持ちが前向きになり、人生が好転したという人の話も少なくありません。アラフィフ世代は、すでに自分の好みが確立しているので、ヘアチェンジには勇気がいるかもしれませんが、多くの女性に新しい自分に出会ってほしいという願いを込めて、この企画を立ち上げました」
確かに50才が近くなると、人生は大きな転換期を迎える。子育てはひと段落するが、介護や夫婦関係、更年期、定年までのカウントダウンなど、さまざまな問題に直面する。
また老いへの覚悟を持ちながらも、若さへの執着も捨てきれない人もいる。そんなアラフィフならではの揺れる気持ちを打破するため、女性は髪を切るのだ。アクセサリーデザイナーの田中てる美さん(仮名・48才)も髪を切って人生が劇的に変化した1人だ。
「夫のDVが原因で数年前から別居しています。昨年、子供が結婚して喜んでいたんですが、家でひとりになったとき、ものすごく焦りが出てきたんです。これからどうやって生きていこうって…。何かを変えなきゃと、思い切って肩まであった髪をショートにしたんです。そうしたら“表情が明るくなって別人みたい”って褒められるようになって、交友関係も一気に広がっていきました。やりたいことは全部挑戦しようと思って、前々からやってみたかったアクセサリー講座に通い、来年からは本格的にアクセサリーを販売する予定なんです」
コピーライター・井村裕美さん(仮名・52才)は、鬱々とした気持ちを吹っ切るために50cm以上もバッサリカットしたという。
「早くに父が他界して、母1人子1人。そんな母も80代になり、認知症の兆候が見られるようになりました。大黒柱は私。母に留守番をさせるのはかわいそうだけど、稼がないといけない。気合を入れるために、腰まであったロングヘアをベリーショートにしました。頭だけじゃなく気持ちも軽くなって、なるようになるって前向きになれた気がします」
※女性セブン2017年12月14日号