亡夫の部下ですから結婚は承知でしょうが、夫婦の状態について受けていた説明は注意点です。他にも亡夫が自分の地位を利用するなど悪質な手段で女性を不倫に誘い込んだ場合は微妙です。不倫相手が上司から圧力をかけられ、不倫関係をもったとすれば妻への不法行為になっても、慰謝料の額は僅かなものになるでしょう。
逆に、亡夫の強制や甘言で騙されたことがあり、部下の女性が恨みを持っていれば亡夫から受けた精神的苦痛に対する慰謝料を主張するかもしれません。その場合、相続人である妻子が相続放棄しない限り、請求の相手になります。
なんにせよ、慰謝料請求の気持ちが強固であっても、まずはメール内容の分析などから不倫内容の実態を確認することが大事です。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年12月8日号