あらゆることに興味を抱いて、首を突っ込んできた少年が、そのまま大人になってしまった──。
「部下からもよく言われています。『社長は永遠の小学5年生ですね』って」
少年時代のリアルな気持ちに立ち返る。それが日野の発想のスタンスだ。子供の心に返って、そこから現代を見詰め、見えてきたものを形にしていく。
「今回の映画もそうです。親子の関係性がストーリーの鍵。主人公のひとりのトウマは、両親が共働きの家の子で親との会話が少なく、孤独を感じている少年です。実は僕も両親と離れて暮らしていたので、あの頃のリアルな感情を、トウマに重ねています」
映画のもうひとつの見どころは、『ゲゲゲの鬼太郎』のゲスト出演だ。
「きっとポスト読者の皆さんは、『ゲゲゲの鬼太郎』に親しんだ世代だと思います。僕もそのひとり。子供や孫と観に行った映画に、鬼太郎たちが出てきたら、ワクワクすると思いません?」
たまには、子供の心に戻ってみるのもいいかもしれない。
●ひの・あきひろ/1968年7月20日福岡県生まれ。ゲームプログラマー、ディレクターを経て独立。1998年レベルファイブを設立。『レイトン教授』『イナズマイレブン』などのヒットを飛ばす。2013年発売のゲームソフト『妖怪ウォッチ』はシリーズ累計1000万本を突破。アニメ、漫画、映画、玩具……とクロスメディア展開し、大ヒットを飛ばす。
■撮影/江森康之、取材・文/角山祥道
※週刊ポスト2017年12月15日号