企業のデータ改ざんが後を絶たない。業界3位の神戸製鋼所が強度や寸法などの検査データを組織ぐるみで改ざんしていた。一部でJIS規格に満たない製品を出荷していた疑いも出だしている。製品は、自動車のドア、H2Aロケットや国産ジェット機の部品、自衛隊の防衛装備品など、延べ約500社に幅広く使われているという。
問題は国内だけにとどまらない。アメリカのゼネラル・モーターズなどの自動車メーカーや、航空機メーカーも調査を始めている。
日産自動車も無資格者が車両の最終検査をしていたことが発覚した。この問題がわかった後も、無資格検査が続けられていたことも明らかになった。さらには、検査員試験では、正解を丸写しさせるということまでしていたというから、検査が形骸化していたことがわかる。「やっちゃえ日産」が、とんでもないことをやってしまった。不正をやる側の一人ひとりの問題もあるが、それを容認し助長する空気が会社のなかにあったということである。
これらの不正は、日本ブランドの信頼を傷つけたのは間違いない。「モノづくり日本」というプライドは、もう過去のものになってしまったのだろうか。
いじめの報告書を外に漏らさないように口止めした教育委員会と、ズルをした神戸製鋼所や日産には、共通点がある。それは、わからなければいいというモラルの欠如と、わからないようにしてしまえば責任は免れるという隠ぺい体質だ。そして、こうした体質は、「忖度」というしがみつきやもたれあいを生む体質と、とてもよく似ている。
先日、ぼくは『忖度バカ』(小学館新書)を上梓した。日本社会に深く蔓延する「忖度という病」とは何なのか。一強におもねる官僚の姿があらわになったモリカケ問題や東芝の没落、ベッキーの不倫騒動、いじめ問題、日本人の終末期のあり方など、さまざまな例を挙げて分析した。