かつてプレミアムビールといえば「ヱビス」の独壇場だったが、2003年にサントリービールから「ザ・プレミアム・モルツ」が登場すると一気に追い上げられ、いまでは「プレモル」に大きく差をつけられてしまっている。そんな中、サッポロは今年、「ヱビス」127年の歴史で初めて上面酵母を採用した新商品「ヱビス華みやび」を通年商品として投入し、巻き返しをもくろんだ。
この商品はフルーティな味わいということからか、テレビCMでは女優の深田恭子を起用し、オフホワイトの缶にローズレッドのカラーで恵比寿様と商品名を入れるなど、当初から女性層の取り込みを狙っていたのだが、ここまでの数値について前出の高島社長はこう総括した。
「『ヱビス』は、計画ではもっと数字を上げようと考えていました。分析してみますと、『ヱビス華みやび』という新商品が計画に対して、ある程度のところまではきているんですが、出してみてわかってきたことは、都市型商品だということ。しかも、いままでビールを飲んだことのない女性がお飲みになっていると。
だからといってここで諦めるわけではなく、『ヱビス華みやび』の市場定着の工夫は続けていきたいと思います。ヱビスブランドの計画値との乖離の内訳の大きいところは、そういう要因があります」
首位ブランドの「スーパードライ」を擁するアサヒビール、今年、2番手ブランドの「一番搾り」を大幅にリニューアルしたキリンビールの牙城を、サッポロがどう切り崩していくのか。さらにプレミアムジャンルでは「プレモル」をどう追いかけるのか、年明け1月に行われる予定の事業方針説明会で、高島社長がどんな打ち手を見せるのか、注目したい。