この本は、その点で出色の成果をしめしている。とにかく、アメリカ側のデータを、可能なかぎりあらいだしてくれた。おかげで角栄が中曽根康弘が三木武夫が、どううごいていたのかが、はっきりうかがえる。もちろん、キッシンジャーやフォードらの思惑も。
アメリカが角栄を、排斥したがったのだと、よく言う。しかし、それほど一枚岩のアメリカなどなかったことも、これを読めばのみこめる。なるほど、そうだったのかと感慨の深められることを、うけあおう。
それにしてもと、思う。現代史の、海外とかかわる事象は、日本にこもっていてもつかめない。外国のデータを、読みこなしていかなければならないことを痛感した。ロシア語の記録を駆使した北方領土返還交渉史など、読みたいノンフィクションは、たくさんある。2018年の、新しい仕事に期待をよせている。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号