国内

内田樹氏 女性宮家・女性天皇に違和感なし、当然のこと

皇室は“国民のモデル”と語る内田樹氏

 天皇陛下の退位が2019年4月末に決定した。生前退位まで1年余。生前退位という「革新」が控える今、女性皇族を巡る「伝統」にどう向き合うのか。近著に『街場の天皇論』などがある、思想家、神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんが緊急提言する。

 * * *
 天皇制という仕組みは、今現在も“生きている”システムです。固定されたものではなく、時代時代に合った形で変化していくべきものだと思っています。

 私はそれを陛下ご自身の行動やお言葉から感じ取りました。かつて菊のカーテンの奥に鎮座していた時代から変わって、象徴的行為として各地を回って祈りを捧げられた。さらに、「お気持ち」を表明して、生前退位を実現させた。それは「憲法下での天皇制のあるべきかたち」は従うべき先例を持たず、それゆえいつも新しく創り出すべきものだと陛下が考えておられるからだと思います。

 皇室は国民の生活のロールモデルとしての役割も期待されています。ですから、国民の家庭のかたちが変われば、皇室のかたちもそれにつれて変わる。あまりに隔絶してはモデルにならない。

 代々続く老舗の店は、のれんを守るためにさまざまな工夫をしています。男系で継げない場合は、養子をとったり婿を迎え入れたりして工夫しているし、女性が経営を引き継ぐ例も珍しくありません。それが、一般市民の家督の継承の仕方です。そういう時代に皇室だけが男系の男子という決まりに執着していては、ロールモデルになりません。現代的な家族のかたちから遠く離れた皇室のあり方を国民は決して求めていないと思います。

 そういった意味では、女性宮家や女性・女系天皇ということにまで裾野を広げていくことに私は何の違和感も持ちません。当然のことだと思う。

 皇位は男系で連綿と受け継がれてきたといいますが、例えば第25代の武烈天皇から第26代の継体天皇の間では10親等離れています。今、そのような無理をおしてまで男系の万世一系を継ぐことを国民は望まないでしょう。

 それならば、陛下のおそばでその謦咳(けいがい)に接して、陛下がこれまで何をされてきて、これから何を実現しようとされたのか、そのことを熟知し、その責務を受け継ぐ覚悟のある人に、男女にかかわらず、そのお気持ちが託されていくべきだと思います。

※女性セブン2018年1月4・11日号

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン