当時、トロイカ体制は終焉を迎えかけていたのだ。ところが、大逆転が起きる。安倍首相が昨年10月の解散総選挙という起死回生の大博打に勝利して求心力を回復し、総裁3選の道を切り開いたからだ。しかし、いったん崩れた3人の信頼関係は元には戻らない。
「安倍首相は総裁選後、政権の総仕上げに向けて麻生―菅のトロイカから骨格を根本的に組み替え、新しい体制をつくるつもりだ。中枢から外されることが見えている2人にすれば、生き残るには手を組んで総裁選で総理に挑まざるを得ない情勢になってきた」(同前)
その“切り札”に浮上したのが河野カードだ。
◆大化けするかもしれない
〈岸破聖太郎〉──ポスト安倍の総理・総裁候補である岸田文雄氏、石破茂氏、野田聖子氏、河野太郎氏の4人の名前を合成してそう呼ばれる。その中で唯一、安倍首相を相手の総裁選で大番狂わせを起こす可能性を秘めているのが河野氏だ。
「太郎が総裁選に出馬したら、かつての小泉のような(*)国民的人気を呼ぶかも知れない」
【*2001年の自民党総裁選で、勝ち目がないと言われていた小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」と言って国民的人気を呼んだ。その流れに乗った地方の党員、国会議員が雪崩を打ったように小泉氏を支持。大本命と言われていた橋本龍太郎氏を破って総裁となった】
ある自民党長老はそう語り、比較された小泉純一郎・元首相も首相経験者の会合で、「あの男は大化けするかもしれない」と漏らした。