河野氏は永田町で「総理になれない家系」といわれる河野家の三代目。祖父の一郎氏は池田勇人・元首相のライバルだったがついに首相になれず、父の洋平・元衆院議長も「総理になれなかった自民党総裁」だ。太郎氏も若手議員時代には党の方針に逆らって国会の採決で何度も造反、「自民党の異端児」と呼ばれた。そのため出世は遅く、当選7回で内閣府の行政改革相に就任(2015年)したのが初入閣だったが、外相になると評価は一変する。
就任前は「河野談話」で知られる父と同じ親中、親韓派と見られていた。だが、日中外相会談で王毅外相に「大国としての振る舞い方を身につけていただく必要がある」と注文をつけ、慰安婦問題で韓国の文在寅大統領が日韓合意では解決できないと表明すると「断じて受け入れることはできない」と反論するなど中韓に毅然とした対応をとった。
外相を4年務めた前任の岸田氏の“リベラル外交路線”が目立たなかったのに対し、就任半年で「河野外交」を強く印象付けたのだ。
◆進次郎とも馬が合う
麻生氏は洋平氏から派閥を引き継いだことから、太郎氏は麻生派の「正統なプリンス」でもある。菅氏との関係も良好だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が語る。
「菅さんは、行革相時代の仕事ぶりで『河野太郎はできる』と高く評価し、総理に外相起用を推挙した。菅さんがポスト安倍でキングメーカーになることを考えていることはほぼ間違いなく、今年の総裁選で麻生氏と組んで河野カードを切るかもしれない」
政治ジャーナリスト・藤本順一氏は河野政権誕生のシナリオをこう予測する。