国内

残念な和食で育つ子供たち 米粒は小さくて噛み方わからない

白米やみそ汁、お箸…食卓から消えゆく和食

 2013年に無形文化財に登録されて以来、留まることを知らない世界の和食ブーム。しかし一方で、食卓の危機を著したのが、現代の一般家庭の食卓を写真に記録した『残念和食にもワケがある-写真で見るニッポンの食卓の今-』(中央公論新社)が話題を呼んでいる。

 その中には、「白いご飯は味がないから嫌だ、と子供が食べないから出さない」「ラーメン以外はすべてスプーンで食べる。お子様プレートは盛りやすく片付けやすいから大人もよく使う」「ピザと刺身を組み合わせる日もある」などなど…。

 そんな状況を打開するべく、 最近は料理に苦手意識を持つ人たちのために、すでにカットしたり下処理された食材と調味料がセットになった“料理キット”が登場し、人気を博している。『Kit Oisx』を販売するオイシックスでは利用者が190万人を突破。生協が展開する宅配パルシステムも『パルシステムお料理セット』を販売し、1週間に7万点を売り上げたこともある。

 コンビニやスーパー、デパートに行けばおいしそうな総菜が豊富に並ぶ。加工食品や中食の市場が拡大し、主婦が料理しなくなる要因はそこかしこに転がっている。

 2017年に放送60周年を迎えた『きょうの料理』(NHK)でも、放送開始当時は「和食は教わらなくても作れるから」と洋食レシピが多かったが、最近は和食を中心としたレシピを多く紹介している。同番組ディレクターの河村明子さんが言う。

「和食といっても本来は家庭で食べるものですから、簡単に手早く作れるはずだったんです。日本には白米という財産があり、しょうゆもみそもある。季節ごとに手に入る野菜や魚を煮たり焼いたりするだけで和食が完成するのだから。

 しかし一度和食を作らなくなるとだしのとり方や煮物の味付けが難しく感じられ、複雑なルールがあると誤解してしまう。ならばパンやスパゲティの方が簡単だ、とさらに和食から遠ざかってしまう」

 家族が少なくなったことも、和食離れの理由の1つにあげられるという。

「だしをとって料理するのは、5人家族であるとか、多くの量を作るのには合理的です。しかしひとり暮らしや、夫婦で住んでいても別々な時間に食べるのであれば、面倒でしかないでしょう。家でだしをとらなければ、親から子供へ受けつがれていた和食の作り方もわからなくなって当然だと思います」(河村さん)

 “残念和食”で育ったためか、白いご飯が食べられない子供が増えてきたという。大阪府で中学校教師をしている男性がこう嘆く。

「白いご飯は給食でしか食べない生徒がいて、『よく噛んで食べなさい』と言うと『米粒が小さすぎて噛み方がわからない』と困惑するんです。別の親からは『うちの子は白米の味が好きじゃないから、ふりかけか、せめて塩を持参させてほしい』と言われて驚きましたね。年明けの授業でおせちの話をしたのですが、クラスの3分の1がおせち料理を食べたことがないという状況でした。大人の責任ですよね…」

 ちなみにある学校で「好きな食べ物」のアンケートをとったところ、トップ3は「ラーメン、焼肉、キムチ」。もはや和食メニューは1つもない。

※女性セブン2018年2月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン