ビジネス

楽天キャリア参入 MVNOとの「ハイブリッド」狙いか

格安スマホ参入時の楽天・三木谷浩史社長(写真:時事)

 昨年末、楽天が通信キャリア事業への参入計画を明らかにして大きな話題になった。NTTドコモ(以下ドコモ)、KDDI(以下au)、ソフトバンク(以下SB)に次ぐ、「第4のキャリア」への昇格宣言だ。この3月末までには正式に申請、認可され、来年には実際に楽天のサービスが始まりそうだが、そもそもなぜ、このタイミングでのキャリア参入だったのか。『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏がスマホ業界の現状をレポートする。

 * * *
 楽天が、いわゆる格安スマホ市場に参入したのは2014年秋のこと。この市場は、前年の2013年に、iPhoneがSIMフリー端末を投入したことで話題になり、同年秋、対抗するようにグーグルも同社の純正端末「Nexus5」でSIMフリー端末をぶつけてきた。

 実は筆者も同時期、このグーグルの端末を4万円で購入している。通信キャリアとの契約だとスマホの月額料金が高かったため、二の足を踏んでいたのだが、手頃な価格で端末が購入できるうえ、月額料金も格安SIMカードサービスを提供するところが出てきたからだ。

 それがインターネットイニシアティブ(以下IIJ)。同社では、従来からあった法人向けに加え、2012年からは個人向けにもIIJmioという名称でSIMカードのサービスをスタートしていた。

 当時、データ通信量でいえば、500MBで月額約1000円と、低価格ながら通信量は心もとない感じだったが、IIJが先駆ける形で月額料金は同額のまま、翌2014年4月には1か月の通信量が1GBに、2015年4月には同3GBまで拡大されて今日に至っている。この間、2014年春にはイオンも格安スマホ、格安SIMカード市場に参入し、以後、楽天も含めてあまたの企業がこの市場に参入していった。

 では、なぜそんなに参入障壁が低いのか。そこに触れていくと、似たような名称に触れざるを得ないので先に説明しておこう。通信キャリアは別名、MNO(モバイル・ネットワーク・オペレーター)と称され、IIJや楽天などはMVNO(モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター)と呼ばれる。

 MVNOは、MNOの通信回線を借り受ける形でサービスを提供するため、投資額がそれほどかからない。いわば人のふんどしで勝負できるのである。ゆえに、たとえばIIJと契約すると課金やサービスは同社との契約となるものの、スマホの端末に挿すSIMカードには「docomo」と刻印され、契約数もドコモの増加分としてカウントされる。

 こうして雨後の筍のように増えていったMVNOはうなぎ上りで契約者を獲得できたのだが、昨年、その勢いにブレーキがかかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止に…(時事通信フォト)
【デフリンピック半年前の騒動】デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止「監督は聴覚障害に理解があるはずでしたが……」 ろう者サッカー協会が調査へ
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン