2004年、当時の石原慎太郎東京都知事により着手された“歌舞伎町浄化作戦”最後の象徴ともいえる出来事が、新宿コマ劇場解体→TOHOシネマズ新宿のオープンだ。これまで近づきにくかった歌舞伎町が、開かれたイメージになったと感じた人も多いことだろう。
TOHOシネマズ新宿は実物大のゴジラ模型でも知られるが、併設されているホテルが「ホテルグレイスリー新宿」。ワシントンホテルの上級ブランドだ。斜め向かいには、同じく宿泊主体型ホテルの「アパホテル 新宿 歌舞伎町タワー」も進出、いずれも訪日外国人客に大人気のホテルとなっている。実際に宿泊すると、訪日外国人客の多さと共に、夜遅くまで歌舞伎町を楽しむ姿を散見する。歌舞伎町とホテルの親和性を感じる印象的なシーンだ。
歌舞伎町のホテルといえば、従来からレジャーホテル(ラブホテル)のイメージが強かった。そんな歌舞伎町ホテルシーンに風穴を開けたのが、2013年に開業した「新宿グランベルホテル」だ。
その後、ホテル不足問題などから、レジャーホテルの一般ユース取り込みに試行錯誤しつつ前記のような一般ホテルも急増した。訪日外国人客の増加は歌舞伎町のホテルシーンを変貌させたともいえる。
そして、歌舞伎町のホテルで忘れてはならないのが「新宿プリンスホテル」だ。
西武新宿駅に直結する歌舞伎町の最高立地ホテルともいえる。このところロビーやレストランなど大規模なリニューアルがすすめられ、日本人客はもとより、訪日外国人客にも人気が高いホテル。何よりホテルカテゴリーとしては、他の宿泊特化型ホテルと一線を画すプリンスホテルの看板。歌舞伎町のランドマークホテルともいえる。
レジャーホテル需要が高いエリアだけに、一般ユースのホテルステイ場所としては注目されてこなかった歌舞伎町であったが、ここにきて一般ホテルがにわかに活気づいている。それもやはりナイトタイムエコノミーがキーワードだ。
さもすれば、危険、不安といった夜の歓楽街において、アパホテル、ワシントンホテル、プリンスホテルといったホテルブランドの信用力は、ゲストに歌舞伎町ステイの選択肢をもたらすだろう。すぐに“基地”へ戻れる安心感は絶大だ。
ナイトタイムエコノミーが注目される中で歌舞伎町のホテルを取材していると、変化の波が押し寄せていることに気付く。