◆38歳・美奈子 『女性が輝く社会』といわれると焦る
38歳の美奈子さん。結婚して12年、中学生になった娘が1人いる。婚活サイトに登録したきっかけは「焦り」だったと語った。
「夫は職場の同僚だった人で、26歳のときにデキ婚しました。仕事は続けたかったんですが、結婚直後に夫が転勤になったので、ついていくために私は退職したんです。娘が小さい頃は子育てが忙しかったし、家事を一生懸命やっていたから充実していたんですよ。ただ、結婚して3年くらいたつとセックスレスになって、夫とは、険悪ではないけれど、単なる同居人になってしまった。お互い、異性として凄く好き、というわけではなかったんでしょうね。
そうなると、2人目はできないし、娘には次第に手がかからなくなるし、人生にぽっかり穴があいたような気持ちになったんです。これではダメだと、職探しを始めました」
元々、新卒で食品メーカーに就職し、正社員として勤めていた美奈子さん。また“食品”に関わる仕事がしたいと就職活動をし、36歳から、輸入食品メーカーの事務を始めた。正社員ではなくパートで、時給に換算すると「泣けてくる」ほどの給料だったが、やる気に満ち溢れていた。が、そこで、職場のいじめにあったという。
「年下の正社員の女性と気が合わなくて、嫌がらせを受けるようになりました。出張に行った人のお土産が、私にだけ、配られないとか……。私のパソコン作業が遅いと、『とろい主婦を雇うとこっちが迷惑』と、怒られたこともあります。でも、家で仕事の愚痴を言うと、夫には『うるさいなあ。無理して働くことはないよ』と嫌がられ、結局、3ヶ月でやめてしまったのです」
それでも働きたいと、いまは近所のスーパーでレジを打っている。しかし、結婚するまで勤めた食品メーカーの同僚の結婚式に行ったとき、周囲にそれを打ち明けることはできなかった。