なぜ「分かる」のかといえば、大手広告代理店の営業は新規のクライアント開拓が常に求められているからだという。自動車メーカーやビールメーカー等、伝統ある巨大企業担当の営業であれば、部署全体がその企業を担当することになるが、扱い額の少ない企業を複数担当するような部署であれば新規の案件があるとなれば、すぐにそこに飛びつくようになるのだ。

「正直、仕事が取れればいいと思っていますし、多少胡散臭い感じであっても、とりあえずカネさえちゃんと払ってくれればお客さんはお客さんです。我々は契約を取りに行きますよ」(同前)

◆ベンチャー企業特有の「見栄張り」も影響か

 こうした姿勢と同様に、テレビ局の「考査」も昨今は緩くなってきている。「考査」とはCM表現などを審査する部署なのだが、かつてCMを出したい企業が頭を下げてでも並んでいた頃は厳しく企業のあり様や内容をチェックしていた。わいせつとも捉えられるような表現があったり、差別的とされる表現があれば即却下。広告代理店にやり直しを命じていた。

 だが、広告費の獲得が難しくなってくると、この審査も緩くなっている。例えば、かつては「1つのCMで2つの商品が映っているのはアウト」など、考査によって厳しくチェックされていた。だが、テレビ局としてもなんとしても広告費を獲得したいため、本来の商品CMの最後の数秒で「○○味も登場したよ!」といった形で別商品を出しても許されるようになっている。

 もちろん、テレビ局の側でも仮想通貨取引所という業界で想定されるリスクについての理解が足りなかった面もあるだろう。そもそも、株やFX(外国為替証拠金取引)の広告であれば、金融業界というカテゴリーの中で判断することができるが、仮想通貨の取引について同じように分類できるものではない。税制上も仮想通貨取引で得た利益は、申告分離課税ではなく雑所得扱いになっていることからも、その存在の曖昧さがわかるだろう。

 広告が入りにくい時代背景に加え、こうした仮想通貨取引所という存在の曖昧さがあって、広告代理店やテレビ局双方の審査をくぐり抜けてきたのではないか。

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン