店の目と鼻の先でIT関連の情報分析会社を経営している、「社長だがここでは店公認の立ち飲み部部長」だというダンディな男性(60代)は、いつも部室の定位置で部活を見守っている。
「この場所は、VIPルームでもありますし、ときに面談室になることも。いろいろな人と知り合い、ここで飲んでいると、相手の性格などがよくわかってきますからね。気に入ってしまって、社員に採用したことだってあるんですよ。質素にして非常に居心地がいいせいでしょう。幅広い他業種の方々が部活にきますね」。
「私の会社には、ここの部活のメンバーは20~30人はいるはずです。仕事の性格上、みんな揃って一杯、というのは無理なんで、だいたい3~4人単位で来ていますけど。メンバーの誰に聞いてもご主人夫妻が好きだって言いますよ。それに、他社の部員もしっかりした人が多いのがうれしいですね。だから、部活の延長で他社の人と一緒にどこかへ食事に出かけたりなんてこともよくありますよ」(40代、通信関係)。
同年代の同僚も一言。
「角打ちに憧れていたんですが、生まれ育った茨城にはないんですよね。社会人になって上京したのを機に探し回っているうちに、何のことはない、会社のすぐ近くにこの店があったんです。躊躇せず飛び込んだら、店の人も客もすぐにふわっといい雰囲気で包んでくれた。部活?ちっともきつくないですよ。当たり前ですけどね(笑い)」
「ちょっとしたミーティングもここでしますし、やさしい雰囲気がいいんですよ。そうそう、僕らが部活で飲むのは焼酎ハイボールが定番です。何にでも合うちょうどいい味というんでしょうか。甘くなくて、しかも飲みごたえもある。早い時間に来れたときはもちろんですが、部活終了の15分前とかに飛び込んだときでも、必ずこれは飲みます」(40代、飲料メーカー)。
部活終了は21時。これは確実に守られていて、みんな粛々と帰ってゆく。
「住宅街なんで静かに飲むことを規則として決めてあるんですが、ありがたいことに、部活やめるよって人はいなくて。逆に新入部員を連れて来てくれますね」(猪熊さん)。