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2018.02.03 07:00  週刊ポスト

藤竜也 「映画を撮ることは母の胎内で遊ぶような感覚」

主演映画「東の狼」はキューバ人監督の作品


「彼の魂を宿して過ごす日々は、ひたすらに苦しかった。毎日が果てしなく重い。吉野へ移り住んで撮影した1か月間、息抜きできたのは近所のコンビニ。10キロも離れているんですが、そこへ朝4時頃に出かけてしばらく看板の灯をぼおっと眺めるんです。あの灯は全都市共通だからね(笑い)。そこで少し自分を取り戻すと、活力も少し出てきた。クランクインの頃に咲いていた吉野の桜にも心が救われましたよ。僕が借りていた村営住宅の前に桜があって、それは嬉しかった。やっぱり春になると毎年、『あぁ、今年も桜がみられた!』という感慨があるのでね」

 もがきながらも、異文化で育った監督との共同作業は刺激にもなった。

「完成した作品は哀しみに満ちていたけれど、その中から人間の生きる力強さが否応なしに伝わってきた。そこには感心しましたねぇ。意思疎通も不便でわからないことがたくさんあったなか、僕が惹かれたのは物語性。老猟師はもういない狼を信じていて、一途に追い求める。ロマンチックじゃないですか。もしかしたら、僕らの中には狼が潜んでいるのかもしれない」

 その実態はわからないと首を傾げながらも、「僕にはもうない」と断じる。

「若い時にはそれらしきものが自分にもあった。喩えれば、猛々しさや壊したいという欲望。あの頃は先行きが見えなくて、それでも進まないといけなかったから。だけどもし、秘めた渇望を狼とするならば、今の僕にとってそれは映画。次の作品が“狼”だね」

 そう話し、いたずらっぽく表情をゆるめた。地元横浜の老舗ホテルでカクテルを監修するほど酒に通じ、愛煙家でもある。幸せに感じる瞬間はと問うと、映画を撮っている時間と即答した。

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