最大の理由は、無難なコメントを避けて本音で語れる希少性。
最近の印象的なコメントをあげてみると、「『不倫はダメ』と言っている人のほうが気持ち悪い」「相撲協会は貴乃花部屋をつぶしたいんですか」「(妊婦が電車内で出産したことを批判する声に)お前だって母ちゃんから産まれたんだろ。産まれたから悪口言えるんだろうが。それなのに匿名で書き込んでバカの塊ですよ!」「(フジテレビ視聴率低迷の話題に)「そういうことを言うのはバカ。こういうときこそ助けるのが俺たちの使命」と強烈なものばかり。自らへの批判を恐れず、本音で語っている様子が伝わってきます。
私はいくつかの番組を取材し、何人かのコメンテーターとも交流がありますが、生放送のワイドショーは「本音で話す人がほとんどいない」のが実情。MC、コメンテーター、解説委員など、ほとんどの出演者が、「失言を避ける」「社内からの自重要請」「家族への悪影響」「降板したくない」など、さまざまな理由で無難なコメントを優先させています。
芸人コメンテーターも起用当初こそ本音で話す人が多いのですが、徐々に「笑いでかわす」というトークスタイルにシフトチェンジ。実際、大手芸能事務所ほどこの傾向が見られますが、「社員数や取引先数など影響力の大きさを考えると仕方がない」という側面もあります。
ちなみに竹山さんは、1月13日スタートの『カンニング竹山の土曜The NIGHT』(AbemaTV)で、「コメンテーターって思ってないことばっかり言ってるからね。どんなに偉いおっさんとかでも、みんなテレビに出たくてやっている。平気でみんな嘘つくから、そういうことをこの番組で答え合わせしていきたい」と言っていました。竹山さんを中心に据えた、このような番組が始まったこと自体が、芸人コメンテーターのトップである証と言えるでしょう。
◆キレ芸とぞんざいな扱いが視聴者を寛容に