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2018.02.11 07:00  週刊ポスト

写真家・渡辺達生氏 遺影ではなく「寿影」を企画した経緯

内海桂子さんの寿影も撮影した渡辺達生氏

 グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)といえば、これまで撮ってきた人物は華々しい女性ばかり。美空ひばりを始め、貝殻ビキニで話題になった武田久美子、写真集が50万部を超える大ベストセラーになった川島なお美、アイドルグループAKB48に至るまで、その数4000人以上だ。

 そんな渡辺氏が還暦を迎えてから力を注いでいるのが、“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクトだ。

『寿影』とは、渡辺氏による造語で、商標登録されている。葬儀で使用される『遺影』の“遺”の文字には暗くて辛気臭いイメージがあると感じていた渡辺氏は、代わりにこれまでの人生を祝う意味を込めて、美しい響きを持つ“寿”を選んで命名した。

 きっかけは、義父が80代半ばで亡くなった際、自分が撮影した写真を遺影に使うことを義母に拒否されたことにある。

「僕としては自信を持って撮った1枚。でも、義母に“私が知っている表情じゃない。夫はもっといい笑顔だった”と言われたんです。カメラマンとしてショックでしたね」

 亡くなる3年前、すでに病気を患っていた頃に撮影した義父の表情は、長年連れ添った妻には納得のいかないものだったのだ。結局、遺影として義母が選んだのは、60代の旅行先での元気な笑顔のスナップ写真。遺影は技術だけではなく、その人の内面を表現したものでなければ成立しないと渡辺氏は痛感した。

「還暦過ぎの元気なうちに渾身の笑顔を撮っておくのもいいじゃないか」とカメラマン魂に火がついた渡辺氏。まずは小中高の同級生に声をかけてひとりずつ撮影を行なった。聞くと、誰も自分の近影を持っていないことに驚かされ、ことさら寿影の重要性を感じた。

「背景は余計な情報を入れないよう、シンプルな白バック。自然な笑顔を引き出すための架け橋となる宝物やお気に入りの一品を持ってきてもらい、それについての会話を交わしながら素の表情を撮影することに集中する。目指したのは、心にピントを合わせた、いつも通りの笑顔です」

 撮影時間はわずか10分程度。できあがった写真を見ると、みんなが喜んでくれた。

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