国内

慶大生らDV父親刺殺事件 自分がやらないと家族が…と責任感

DV家庭で少年少女の恐怖は憎悪に…(写真/アフロ)

「アンタを守ってこうなったんだから、今度はアンタがあの子を守らなきゃダメだよって。私そう伝えたの。そしたら、『はい…』って彼女はうつむいていた。あまりにも悲しい事件だよ」

 神奈川県横浜市の小さなアパート前で、1人の女性住人が物憂げに話す。1月20日、同マンションに暮らす高校生の少年(18才)が、自宅リビングで父親(44才)を刃渡り20cmの包丁で刺殺した。捜査関係者が語る。

「両親のけんかを止めようとして、咄嗟に刺してしまったらしい。両親の仲が悪く、母親へのDV行為もあったといいます。少年は3人きょうだいの長男で、『父を殺さないと家族全員が暴力を振るわれると思った』と供述している。父親の家族へのDVが恒常的に行われていた可能性も視野に、取り調べが続けられています」

 冒頭のアパート住人によれば、夫婦には別居の過去があり、最近母親が戻ってきたばかりだったという。

「長男は小柄で大人しい子で、母親思いの良い子だったよ。きょうだい仲もよくてね。昔はお父さんも自分で布団干したり、登下校の見守り活動をしたり、普通の一家だった。でも、いつしか夫婦仲が険悪になっちゃって…。思春期で多感な時期の長男にはつらかったろうね。

 母親は事件の2日後に『ご迷惑をおかけしました』って詫びにきたの。そこで少し話ししてさ。自分を守るために息子が殺人を犯すなんて、想像もしてなかったろうね…」(アパート住人)

 奇しくもこの事件の2日前、東京・大田区のマンションでも同様の事件が起きている。1月18日夜、慶應大学経済学部2年生の鳥屋智成容疑者(20才)が、酒に酔って帰宅した父親(58才)をナイフで刺殺した。

 捜査関係者によれば、発端は酩酊状態の父親が帰宅するなり弟を怒鳴りちらしたこと。それに気づいた鳥屋容疑者が自室から飛び出し、間に入ったという。

「やめろ!」

 弟を守るため、父親を制止しようとした鳥屋容疑者。父親の激昂理由は、次男の衣類の管理に関する些細なことだった。それでも弟への恫喝を続ける父親に対し、鳥屋容疑者はこう叫んだという。

「やめないなら刺すぞ!」

 自室に戻り、刃渡り13cmの果物ナイフを手にした鳥屋容疑者は、そのまま父親の腹部を一突き…。

「別室にいた母親が気づき、慌てて救急車を呼ぶも、すでに手遅れ。病院到着後に亡くなりました。長男は『感情的になって刺してしまった』と供述し、全面的に容疑を認めています」(捜査関係者)

◆あいつは優しい男だった…

 現行犯で逮捕された鳥屋容疑者の身辺を巡っては、その後悲しい事実が続々と判明している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン