たとえば「21世紀に繁栄するのはどの国か?」という質問があったとする。世界190数か国のうち、どの国が有望かという議論が進む中で、「国という単位で考える必要はないのではないか」「繁栄するのは国ではなく地域ではないか」といった議論に発展することが期待される。
あるいは、コロンブスについて学ぶなら「1492年にアメリカ大陸を発見」というだけの知識ではなく、「なぜ、あの時代に大航海が始まったのか」という質問からスタートして、要はヨーロッパ列強が他国の資源、労働力、市場を支配して富を収奪する植民地時代になったのであり、そう考えると、今の中国の広域経済圏構想「一帯一路」は21世紀の新植民地政策ではないか、というところまでつながっていくことが望ましい。
つまり、質問に隠されている問題点を見抜いて全く新しい考え方やものの見方を提示できる──それが21世紀に求められる最も重要な能力なのである。
※週刊ポスト2018年3月2日号