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ネットでの誹謗中傷 発信者特定できれば止むわけでもない

発信者情報を特定し誹謗中傷はいったんおさまったが…

 プロ野球横浜DeNAベイスターズの井納翔一投手が、ネットで妻を誹謗中傷した会社員を訴えたと報じられた。続けて、子育て分野で活動するNPO法人とその代表がTwitterなどで受けた誹謗中傷に対する名誉毀損裁判を起こし、東京高裁で勝訴したことも報じられた。ネット上の匿名者であっても、無責任な発信は大きな代償を求められるのが当たり前になる日は遠くなさそうだが、現在はまだ限られたケースでしか解決に至らない。発信者特定したものの、問題解消が難しい状況に被害者が苦しむ現実について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 デビュー二年目のタレント・まどかさん(仮名)のブログに、意味不明なコメントが付きだしたのは昨年春ごろの事。ブログの管理をするマネージャーから連絡があり、何か心当たりはないか? と尋ねられたが、思い当たるフシもなく「単なるいたずら」だと深く考えなかった。

 しかしある日、一ファンの男性から寄せられたメールを見た瞬間に青ざめた。メールに記載されていたホームページ、ツイッターアカウントには、まどかさんへの悪口だけでなく、実家のある土地名や家族構成までが記されていて、まどかさんの写真を使ったヌードのコラージュ画像までもが張り出されていた。

「最初はストーカーなんだと思いました。ブス、才能ない、やめろ、といった悪口だけではありません。インタビュー記事などで話した地元や家族のことが事細かにまとめられていて、エッチな写真に私の顔をくっつけた画像まであったんです。怖くなって事務所やマネージャーに相談しました」

 それまでも、主にSNSやネット掲示板などに悪口が書かれていることはあった。しかし、ここまで本格的に、そして執拗に誰かから攻撃された記憶はない。もしかしたら身近な人かもしれないし、事務所のライバルタレントなのか? マネージャーと喧嘩したこともあるし……。様々な憶測が頭をよぎる。そして事務所からは「警察沙汰にはできないし……」と、様子見を促されて、自身を取り巻く環境への不信感はさらに募るばかりだった。

 さらに、まどかさんを攻撃し続ける「目に見えない相手」の行動はエスカレートし「殺す」「刺す」「消す」などといった危険な文言が使われるようになり、SNSにも複数のアカウントから攻撃的、侮辱的なメッセージが毎日寄せられた。寝ても覚めても、目に見えない「相手」のことが頭から離れず、ファンミーティングや握手会、イベントへの出席前には体調を崩し、仕事をキャンセルせざるを得なくなるまで追い込まれた。

「私が何か悪いことをしたわけでもないし、相手は私のことを気に食わないだけ。なのに、なぜここまでしつこくやってくるのか」

 泣きながら訴えたまどかさんの悲痛な叫びを受けて、事務所はついに弁護士に相談し、警察にも被害届を出した。だが……。

「警察は、時間もお金もかかるよ、といって捜査には後ろ向き。対応してくれる弁護士さん探しだって、相当に難航したようです。でも最終的には、専門の弁護士さんにお願いをして、書き込みをしていた人物を特定することができました」

 まどかさんと所属事務所は、弁護士を通じて書き込みをしていた人物についての情報を知ることになったが、その人物は東北地方在住の、名前も聞いたことがない40代の女性。自身のファンでもなければ身内でもないし、これまで一切接点のない女だったのである。

「今すぐに悪口を書き込んだり、私の悪い情報を発信するホームページを閉鎖するよう、 弁護士さんがその女性に通知を出しました。女性の家族を名乗る方から謝罪の手紙、電話をいただき、実際に事務所まで来て土下座して帰られたと聞いています。私は怖くて同席していませんが……」

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