いやがらせの書き込みはパタッとなくなり、嫌がらせのホームページも即座に閉鎖され、やっと平穏な生活を送れると安どしていたまどかさんだが、一か月も経つと、SNSにはまた「ブス」「死ね」「殺す」といった書き込みが寄せられるようになったのである。「厳重注意」などと甘い対応をしていた事務所にも怒りがこみあげてきて、泣きじゃくりながらマネージャーに再度相談したが……。

「実は相手の女性は精神的な病気であり、また生活的にも不安定なことから、訴えてもあまり意味がないと諭されました。ではこのまま黙って我慢していればいいのか? 自分の悪口だけならまだ許せますが、家族や友達のことまで書かれる。これには耐えられないんです」

 そもそも、その女性がなぜ攻撃をしてくるのかもわからない。弁護士によれば、女性は「相手は誰でもよかった」とか「雑誌で偶然グラビアを見た」と」いうだけで、攻撃する明確な理由を語らない。まどかさんとは別のタレントを攻撃していた痕跡もあるが、理由がわからない分、対処のしようもない。

「相手は、私が何もしてこないと思っているからいやがらせや攻撃を続けてくるんです。では、こちらから反撃できるかと言ったら、それも事実上不可能。病気で済まされるし、賠償金だって取れない。一方的にやられるばかりで、こちらは我慢するしかないんです」

 一流事務所に所属する有名タレントならまだしも、まどかさんのように売り出し中で、バックアップ体制のそう強くない環境に置かれているタレント、芸能人であれば、事務所や当局、そして世論が助けてくれるといいうことはまずない。泣き寝入りするしかないのだ。別の芸能事務所に勤務するマネージャーの男性も、同様の被害は日常茶飯事だと話す。

「たぶん女性同士の妬みの類で、我々から見ると我慢してね、としか言いようがない。でも若い子やデビュー直後の子にとっては、ものすごいダメージがある。ネット上の悪口がきっかけで病気になったり、自殺未遂を起こしたり、芸能界を辞めてしまう子だっている。芸能界のきつさより、ネット上で受けるバッシングに耐えられるかどうか……。最近の若いタレント、芸能人には高度なスルースキルも求められます」

 現実にネットで誹謗中傷の書き込みをする人は、男女問わずに存在し、中傷する相手の性別や年齢、国籍すらも問わない。自らは顔も属性も明かさず、攻撃してこない相手を一方的に殴りつける。現実世界でいえば「通り魔」ともいえる卑劣な行為だが、卑怯な連中は星の数ほど存在し、全員を検挙したり処罰にかけられるかと言えば「現実的な話ではない」(弁護士)という状況だ。

 舞台がネット上であることから、さらに連中には「罪の意識」もほとんどないに違いないが、犯罪者になんの罰則も科すことなく「悪口を辞めろ」「書き込みを消せ」とお願いしたところで、やめるどころかさらにエスカレートしてしまう。もうどうしようもないと力なく話す、まどかさん。このままだと芸能界にはいられない、という危機感すら抱いている。

「雷に注意、落石に注意、とか言われているような感じ。対処できないから避けられない。やられたら運が悪かったで終わり。いやなら見なければいいでしょう、とも言われますが、悪いのは攻撃をしてくる人達でしょう? こんな思いをしてまで、それこそ家族や友人まで巻き込んでまで我慢し続けなければならないのなら、芸能の仕事をやっていく意味はありません」

 現在のストーカー規制法は、ネットやSNSでの誹謗中傷にも”対応している”ということになっているはずだった。ところが現実には、ストーカーに関する相談を警察にしたことがある人の多くから、まともに被害を受け止めてもらえないという体験談が聞こえてくる。取り締まるのに効果的な仕組みや手段が存在していないこと、担当者個人のネットへの習熟度に頼っていることが原因であろうが、そうやって手をこまねいているうちに被害ばかりが大きくなっていく。芸能人だけではない。一般のネットユーザーの中にすら、ある日突如見知らぬ人物から中傷され、つきまとわれ…という事例は決して珍しいものではなくなってきている。取り返しがつかない混乱した世の中になる前に、迅速な対応が必要だろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
東条英機・陸軍大将(時事通信フォト)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最低の軍人」ランキング ワースト1位はインパール作戦を強行した牟田口廉也・陸軍中将 東条英機・陸軍大将が2位に
週刊ポスト
昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン